漆喰「スイス漆喰とは」
スイスウォール社はスイスアルプスの麓にある1953年創業の会社で、中世からの高品質な漆喰の製法を忠実に守るメーカーです。
天然100%漆喰であるスイス漆喰は、スイスアルプスの高純度の石灰石だけを原材料にして、伝統製法で作られるカルシウム純度91%の高品質な漆喰です。その取り組みは、漆喰の製造だけでなく、バウビオロギーという概念を世界に提唱し、安全で健康的な暮らしをもたらすことを啓蒙し続けてきました。ここでは、そんなスイス漆喰のこだわりをご紹介していきます。
漆喰は、3000年以上も前から現在まで、ごく当たり前に使われてきた塗り壁です。中でもスイス漆喰はアルプス原産の不純物の少ない石灰石を原料に、300年変わらない伝統製法で作り続けられています。現代の漆喰は1,400℃の高温で不純物の多い石灰石を焼成するのに対して、スイス漆喰は950℃の低温で不純物の少ない石灰石を1週間かけて焼成します。そのため、細かく均一な粒子の生石灰ができ、強度の強い漆喰になります。そして、焼成した石灰石に水を混ぜ約6ヶ月間熟成させてスイス漆喰は出来上がります。糊や合成樹脂など化学物質も一切使用していない天然100%の素材です。そうしてできたスイス漆喰は、呼吸性が高く、柔軟性と硬さを持ち合わせた強固な壁を作ります。またスイス漆喰は、100年かけて石に戻る再石灰化という特徴を持ち、耐久性が高く、何世代にも渡って住まい継ぐことができる美しい壁を保つことができます。こだわりの製法で素材そのものの持つ力を十分に活かせる素材なのです。
バウビオロギーとは、BAU=建築,BIO=生物,LOGOS=学問で「健康な住まいを求める新たな学問、建築生物学・生態学」という意味です。
環境意識の高いスイス・ドイツの高性能な住宅では性能だけでなく環境共生やエコロジーに根ざした建築への取り組みが推し進められ、住宅の高性能化と健康や環境保護への考えが”バウビオロギー”という一つの枠組みの中で成り立っています。生命(人・動植物)と建築を取り巻く全ての事柄(健康・環境・省エネ・社会性・生物学・造形など複数の分野にまたがる)について理解を深めていく学びとして、ドイツ・スイス・オーストリアに端を発し、今ではヨーロッパ諸国、オーストラリア、日本に広がりを見せています。
自然素材を主体とした健康な住空間の創造を目指し「食生活が第一の皮膚、衣が第二の皮膚、住環境が第三の皮膚になる」という考え方で、建築を考えています。
その哲学の中で建材は、第3の皮膚機能を果たすものであり、化学物質を含まず、呼吸性と調湿性能をもった人間にとって安全な素材でなくてはならず、同時に環境負荷を与えない循環性素材でなくてはいけません。
目指すは、単に健康的な素材の家造りではなく、色、素材感、デザインなど人間が心地よく、環境に調和した家造りこそが住む人を幸せにするという考え方です。そしてこの考えを基に生まれたのがスイス漆喰なのです。
スイス漆喰は、生物のように呼吸をしている素材です。そのため、室内の湿気を吸放湿してくれるので年中を通して快適に過ごしやすい環境を作ることができます。またそれだけではなく、スイス漆喰は強アルカリ性という特徴があります。
通常の漆喰よりも高いph13という強アルカリ性が、強い酸化還元作用を持ち、有機物や、空気中のウイルス、匂いまでも吸着し分解してくれる力があるのです。さらにスイス漆喰の持つこれらの効果は、日本の住環境でよく悩みとしてあげられる結露やカビの発生を抑えることができます。
アレルギーやシックハウス、喘息の原因として考えられているのは化学物質だけではなく、カビが大きく影響していると言われています。日本の気候風土を考えるとスイス漆喰のカビを抑える強アルカリ性は家づくりに必須と言っても過言ではないかもしれません。
先述のように、スイス漆喰は再石灰化という自然のサイクルを持ち合わせている素材です。再石灰化というのは、乾燥した漆喰が空気中の二酸化炭素と反応して、100年かけて元の石灰石へ戻る現象です。また、合成樹脂を使わず、混ぜ物も少ないスイス漆喰はとても強度が強い素材です。
実際にJIS A 6909(建築用仕上塗材)に準じた付着強度試験では、平均1.0N/m㎡(塗り壁に必要な強度0.4N/m㎡以上)という結果がでており、幅広い建物に安心して使うことができます。
現代の漆喰は割れやすいという点から扱うのが難しい素材でしたが、スイス漆喰は低温で1週間焼き上げているので粒子が非常に細かく均一になることで曲げてもヒビが入らないほど柔軟性を持っている素材です。本物の素材は、正しい製法で作られ、それを正しい施工法で使うことで長く保たれる素材になります。
スイス漆喰は静電気を発生させず埃が舞いづらい空間を作ることもできます。ビニールクロスなどの一般的に壁の仕上げ材として使われているものは基本的に静帯電性があり、静電気を起こすので壁一面に埃が張り付きやすく、人が通るたびに人が通るたびに埃が室内舞ってしまいアレルギーの元にもなりかねません。 そして、塗り壁を使う時に不安になるのはメンテナンスです。「汚れたらどうしよう」「割れたら直せるのか」といったご意見はたくさんいただきます。漆喰の寿命はとても長く、手入れがしやすいため3000年も前から世界各地で使われ続けています。とはいえメンテナンスが不要ということではありません。 汚れたり割れてしまっても簡単に補修することができるのもスイス漆喰の特徴と言えます。
スイス漆喰が生まれたスイスという国は、アルプス山脈の麓にある九州と同じくらいの広さの国です。またその気候風土は、日本同様に雨や雪があり、湿気に悩む国であるということが共通点です。 なので、日本のように湿度が住宅の長寿命化に影響を与える地域には、こういった気候に適した調湿性のある建材が必要と言えます。また日本は、高温になる夏の暑さ対策として、スイス漆喰の遮熱性は大きな効果が期待できます。 なぜならば、赤外線反射率91%という特徴で遮熱塗料以上の効果があり、日本の気候には適していると言えるのです。