「パリ万博のフィンランド・パビリオン」展示模型にはシュタイコが使われています
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コラム
シュタイコ
アルヴァ・アアルト設計
幻の建築「パリ万博のフィンランド・パビリオン」模型展示
フィンランドのアルヴァ・アアルトは、有機的なフォルム、素材、光の組み合わせが絶妙な名作を数多く残し、今もなお世界中で支持されている、言わずと知れた20世紀を代表する近代建築家の一人です。
2021年に世田谷美術館と兵庫県立美術館にて開催された展示会『アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド ― 建築・デザインの神話』にて、岐阜県立森林文化アカデミーが、幻の建築となっている「パリ万博のフィンランド・パビリオン」の模型を製作し展示されました。そしてこの模型は現在、フィンランド・ユヴァスキュラ市にあるアルヴァ・アアルトミュージアムに展示されています。
1/100スケールで再現されたこの模型の土台となっている敷地部分、実際の建築では高低差5mある斜面地の表現に「木繊維断熱材シュタイコ」を使用しています。削り出し作業の際の扱い面と、表面が芝生のような質感で表現できる点から採用に至ったそうです。
もちろん、これは断熱材としての本来の用途ではございません。
しかしながら普段は施工の際にしか見ることができず、家が完成してしまえば施主様は断熱効果を「体感する」ことはあれども「目にする」ことは二度とない木繊維断熱材シュタイコが、こうして偉大なアアルトミュージアムに展示されていることは、親心のような気持ちで大変嬉しく思います。
今回の作品にはシュタイコ デュオドライをご使用いただきましたが、こうした細かな加工も可能であることが、木繊維断熱材シュタイコを用いた建築において、新たな可能性を見出すきっかけにもなるのではないかと思い、こうしてコラムとして皆様にご紹介させていただきました。
曲線と段差はノミと大カッターを使って手作業で削り出しました。
無垢材での削り出しも検討されていたそうですが、シュタイコの繊維がアアルトの世界観によく馴染んでいます。
アアルトの日本での展示会に模型を製作することとなった経緯や、フィンランドとのWEBミーティングの様子、貴重なアアルトの実施図面などは、岐阜県立森林文化アカデミーの活動報告にて公開されておりますので、是非ご覧ください。
岐阜県立森林文化アカデミーとは?
森林や木材に関わるさまざまな分野で活躍する人材を育成することを目指して設立された、2年制の専門学校です。
「森林と人との共生」を基本理念として、すべての人々が森林と親しく関わりを持ち、森林からの恵みを持続的に享受できる社会づくりを目指し、全国で初めての森林教育・学習機関として、2001年に開学。自然と人との新しい関係を追及しながら、SDGsなど持続可能な循環型社会の創造に森林の視座から寄与できる人材を育成することを目的とし、実践的で自由、かつ新鮮な高等教育の拠点を目指しています。
カリキュラムの一つである自力建築についてまとめた前回のコラムはこちら。