とうほく走り描き‖第42回 『自分スタイルのものづくり貫く』
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コラム
第42回 『自分スタイルのものづくり貫く』
藤井 光雄さん( 株式会社 藤井光雄工務店)
11月、北海道の地場工務店の会「アース21」の道外研修に参加し、秋田・青森で先進的な仕事に取り組む工務店・設計事務所の住宅を見学させていただいた。夜は、思い思いに住宅談義に花を咲かせながらの交流会。地元の美味しい料理をつまみながらお酒が進む。寒さを言い訳にマラソンの練習も不足しがちな時期でもあり、一気に体重が増えてしまった。
北海道・東神楽町の株式会社藤井光雄工務店・藤井光雄社長も同研修に参加。私とあまり変わらない年齢だが、ぜい肉のないスマートな体型を保たれていてうらやましい。藤井さんは茨城県の出身。一旦は東京で就職したものの都会での暮らしに違和感があり、新天地を求めて旭川の職業訓練校へ進む。建設会社で大工として経験を積み、その後独立。今は年間5~6棟の新築住宅を安定して受注している。内装仕上げに特徴があり、床は無垢フロアにリボス自然健康塗料のオイル仕上げ、壁は塗り壁でクロスは全く使わない。
お施主さまから「クロスにすると安くなりますか?」と質問されることもあるが「あまり変わりません」と答えるそうだ。厳密に材料費と平米あたりの工賃で比べればクロスの方が安いのだろうが、普段あまり付き合いの無い職人の手配や、新たに発生する現場の段取り、クロスの柄を決めるのにもお施主さんとの打ち合わせが必要で、それらをふまえると実際はコストダウンにつながらないのだろう。「自然素材にこだわり、環境にも優しい新築住宅を建てる工務店」というイメージが徐々に地域に浸透してきているようで、最近では「リフォームもできるのでしょうか?」という問い合わせがあるほどだ。藤井さんは「やりたいと思うことだけ、やってきたらこうなった」と話すが、それができずに悩んでいる工務店も多い。ストイックな情熱を内に秘めているのだと思う。
生涯に100 棟の住宅を建てるという目標と、プライベートでは「ヨットを買いたい」と夢を語る藤井さん。体型と同じように、自然体で作り込む住宅建築のスタイルで、良いペースで走っているようだ。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2017年12月 北海道住宅新聞掲載】