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とうほく走り描き‖第15回 『親子二代、地元とともに』

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とうほく走り描き15回イラスト

第15回 『親子二代、地元とともに』

松田 喜春さん・佳人さん (有限会社松田宅建センター

 

ラン友のTさんから暑中見舞いが届いた。御年68歳、ますます精力的にレースに出場する大先輩だ。アマチュアランナーにとって、完走はひとつの勲章だが、Tさんはフルマラソン完走が実に83回、フルより長い距離を走るいわゆるウルトラマラソン完走が 63回とけた違いにすごい。今年中に合計完走150回の達成を目指している。 地場工務店にとって、同じように完工物件の数は財産だと思う。

 

仮に年間3棟の新築受注として、10年で30棟、20年で60棟。特に地方都市では十分に存在感のあるボリュームとなる。建ててからも長くお施主様とのお付き合いが続き、地域に深く関わっていくことになるのは、工務店の仕事の醍醐味と言えるだろう。山形市の有限会社松田宅建センターさんは、典型的な地場工務店。会社を立ち上げた松田喜春会長と、息子の佳人さんが切り盛りする。佳人さんは、上京してハウスメーカーなどで働いていた時期もあったが、十数年前に帰郷。街に溶け込み、真摯に仕事に取り組んできた父親の姿に共感し、地元の活動にも積極的に携わっている。 最近は、子供からお年寄りまで生涯を通じてスポーツを楽しめる環境作りをする「総合型地域スポーツクラブ」の運営で忙しそうだ。

 

先日、松田さんは建て替えの案件を受注。子供が大きくなり、部屋数も不要になったというお施主様で、夫婦二人暮らしのため断熱性能の高い小さな家に建て替えるという。古い家のほうも、かつて喜春さんが建築、大規模リフォームも一度請け負っていて、同じお施主様で3回目の工事となる。親子二代に渡り、地元に密着している様子が伝わってくる。佳人さんが戻ってきてからは、ほぼ標準で内装に無垢フロアとリボス自然健康塗料を採用、断熱性能のアップにも取り組んできた。まだ本州では珍しい、トリプルガラスサッシの導入も検討中。 新築の仕事では毎回必ずひとつは、新しい技術や製品を取り入れるそうだ。

 

Tさんは、フル・ウルトラ合計150回完走の次は、70 歳までにフルマラソン100回完走に挑むという。着々と山形で住宅建築を続ける松田さん親子、大目標に向けて日々練習を積むTさん。私もそれぞれをお手本に、仕事もマラソンも長く続けていけたらと思う。

 


〈筆者プロフィール〉

中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。

中島さんプロフィール画像


 

【2015年9月 北海道住宅新聞掲載】

 

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