第21回 (2017)|エコバウ建築ツアー報告記
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イベント
コラム
エコバウ建築ツアー2017は、スイス・オーストリア・南ドイツを巡り、バウビオロギーを深める旅となりました。
HAGA社主催の登山でスイスの自然や雄大な大地を体感し、その自然を守るべくして建築ができること、健康な住まいを構築する上ですべきことなど、改めてバウビオロギーとは?ということを学びました。
スイスでは、新築一戸建ての価格と工期を知り、様々な制約がある中、新築を建てる難しさと大切に住み継ぐための住宅設計や設備、素材へのこだわりなども実感。オーストリア、南ドイツでは、木造建築の可能性とパッシブデザインを目の当たりにしました。
建築ジャーナリスト 中谷正人さんの「エコバウ建築紀行」と併せてお楽しみください!
ツアー詳細は、 ツアーレポートからぜひご覧ください。
・ミネルギー基準とは(ミネルギー・P、ミネルギーエコ、A)
・戸建て需要と価格
・パネル工法ラーメン構造
・バウビオロギーを深める
中谷正人氏 プロフィール
新建築社『住宅特集編集長や『新建築』編集長などを歴任し、現在建築ジャーナリストとして活動中。
ツアーレポート
tour report
Day 1
HAGA社見学とカルクウォール施工事例見学(新築・改修)
バウビオロギーとHAGA社の企業姿勢を学ぶ。
改修工事価格は億越え、多額の費用と時間をかけて建物を残す考え方に感銘を受ける。
バウビオロギー住宅。スイス新築戸建の平均価格・工期(1年)を知る。
文化財の戸建改修案件
114年前に建立、スイスウォール外壁とカルクウォール・ソープ磨き仕上げ仕様。
Day 2
HAGA社コーディネートの登山へ。登山を通してスイスの広大さを実感。
木造6階建て集合住宅ギーセライ
施主によるアテンド
・持続可能な集合住宅地(ヴィンタトゥール市)
・151世帯
・積極的なコミュニティー
・ミネルギーP・エコ
・木造6階建て
Day 3
スイスからオーストリア・南ドイツへ移り、プレカット工務店と木造改修事例とシュタイナースクールを見学。
木造建築会社ベルヒトルドと施工現場視察
設計事務所とコラボレーション(完全分業)
・Rahmen(ラーメン)構造
ここでも建物を残す考え方を強く感じる。
シュタイナースクール視察(ウーバーリンゲン市)
主導的なシュタイナー思想に触れる。
Day 4
郊外地域のレベルの高い環境と持続可能な公共建築
農村地域の過疎化対策と集合住宅(クルムバッハ村)
ヘルマン・カウフマン、ベルナルド・バーダー氏設計
最先端のサービス高齢者住宅デザインとパッシブ建築
世界大戦後たくさんの家(石造り、煉瓦)が建ったが、現在は高齢化し過疎化が起こっている。この10年で、村活性化の為に中心部に50棟の集合住宅を建設し、街全体の公共施設なども作り直された。
現地の木材を使用し、出た端材等はチップにし熱エネルギーに使うパッシブハウス。
LCT-One(ライフサイクルタワーワン)
・8階建て木造建築(ドルンビルン市)
・H.カウフマン設計
(CO2検知器、配管設備、地域建設業者)
フォアアールベルクエネルギー研究所セミナー
無暖房・無設備のパッシブオフィス2266
Day 5
フォアアーベルクの公共建築とスイスミネルギー住宅(新築.改修)
ムントリックス村の省庁(エコ改修)
パッシブプラスエネルギー建築
オーストリアエコ建築NO.1大賞を受賞。
木造エコ幼稚園(新築)
建築家トーマス・メッツラーの新築戸建(スイス)
建築費:1億4千万円
景観厳しい住宅地に建つ新築戸建
Day 6
ホームセンター・住宅展示場視察
ツアー中、地元の方にお声がけいただき築200年の物件を見せていただく機会もあり、住宅への愛着や日々の営みを大切に暮らす国民性を実感した。
Pictures
ツアーコーディネーター TOUR COORDINATOR
滝川 薫 Kaori Takigawa
環境ジャーナリスト・ガーデンデザイナー・MIT Energy Vision社共同代表
東京外国語大学イタリア語学科卒業後スイスに渡る。ベルン州オーシュベルク造園学校植栽デザイン課程修了。1999年から欧州中部の環境・エネルギー転換・建築をテーマとした執筆、視察セミナー、通訳・翻訳を行う傍ら、夫と共同で庭園デザインプログジェクトに携わる。東スイスのシャフハウゼン州在住。
単著書に「サステイナブル・スイス」、共著に「欧州のエネルギー自立地域」・「ドイツの市民エネルギー会社」、共訳に「メルケル首相への手紙」など