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エコバウ建築ツアー報告記|第11回 (2007)

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エコバウ建築ツアー2007はデンマークからドイツにかけて自然素材やエネルギー面のみならずデザインや歴史的背景、国民性などさまざまな側面から視察しました。

 

気候変動における建築の考え方や、国や行政が推進する景観美を尊重する建築やエネルギーの活用法など、まさにエコ先進国の取り組みを見ることができた実り多きツアーになりました。

 

新建ハウジング」掲載記事も併せてお楽しみください。

 

 


「新建ハウジング」(2007年11月〜2008年3月)

 

ツアーレポート


 tour report

 

Day1コペンハーゲン

ヴァンクンステン・アーキテクツ

最初に訪れたのは、1970年代コペンハーゲンから新しい形のリノベーションを提案し、今ヨーロッパ中から注目されるヴァンクンステン設計事務所。37年前、集合住宅の設計コンペから活動開始。「大きく高い」集合住宅を、「低く密集」させることで、家が個人の所有物ではなく、公益性の高い存在であることを訴え、新しいリノベーションの形を提案した。コペンハーゲンだけでなくヨーロッパ中で受け入れられ、住宅デザインを変えたといわれる。自然素材(持続可能)の使用は勿論のこと周辺の生物が同時に成長していくことをコンセプトに数々の集合住宅を含む作品を紹介。

 

67戸のボートホールに存在する超高級アパートの見学。元々戦艦を保管するために60年前に建てられた建物を住宅にリノベーションされた。実際住まわれている部屋も見学したが生活感がなく、インテリア(家具)など随所にこだわりが感じられた。

 

Louisiana Museum(1958~1998)

個人住宅から始まり、ヨルゲンボー設計により拡大した美術館。コペンハーゲンの北40kmの郊外フムレベックという町にあり、建物は普通の民家という趣で自然と融合している。自然・芸術・建築が三位一体というのがコンセプトであり、まさに自然の中に隠れた美術館である。世界で最も美しいといわれ、1日いても飽きることのない建築通美術館。

 

 

ヘンリー・ムーア、パブロ・ピカソ、アルベルト・ジャコメッティ、リチャード・セラなど国際的芸術家の作品が展示されている。

 

Giacometti

Richard Serra

 

キンゴー・ハウス(ローマ風住宅)

 

ヘルシンガーにある60戸の集合住宅。建築家はヨーン・ウッツォン。大学での集合住宅の建築サンプルとして頻繁に使用される。15m角L型の中に中庭がありその先に共有する場所が存在する。建物は大きくはないがとても自然と融合していて景観は素朴ではあるが和む。

 

 

 

Day2ベルリン

再生可能な原料を使う家屋研究プロジェクト

建築家ヴィンフリーツ・ブレンネ氏の解説の元、ブルーノ・タウトの80年前の集合住宅を見学。

どんな建築に対してもデザインと同時に自然素材、エコロジー、省エネを最優先で考える仕事しかしないというブレンネ氏の最新の集合住宅のリノベーションも見学し、如何に自然素材が機能的で耐久性があるかということを学ぶ。住宅の耐久性や人間の健康、インテリア性を優先すると自然素材に行き着くということを教えられた。

 

世界遺産の町リューベック

北ドイツのリューベックの大学にて講義後テストハウス見学。

地域から得られる再生可能な原料(木材・粘土・葦)を使い実験棟にて試験を行いながら、データをもとにした建設プロジェクト(地元の家屋がテーマ)。壁の厚さ32cm、屋根厚21cm  釘や接着剤は一切使わず  断熱材は木(3棟分)。

 

キールの水上家屋(1986~1991 )

造船所にある船と家屋が合体したモデルハウス。人気上昇中の建物。日本の新聞でも取り上げられていた。

 

北ドイツのエコ運動発足の地、化石の集合住宅地区

自然と共に生きて自然と共に回帰したいという思いから始まる。水、水周り、食洗、浄水、排水、緑化、衛生設備のすべてを導入したまさにエコバウの原点。

21世帯12,000㎡(建築面積)

25,000㎡(総面積)

協同組合にて費用などを分担。

 

環境都市エッカーンフェルデ

バケツ1個から生まれたビオトープ。ドイツのエコロジー建築の中でも’99年に完成したブレンネ設計事務所とヨアヒムエブレが共同で設計したハインリッヒベール。ベルリン郊外の世界遺産であるブルーノタウトの集合住宅を、かつての姿に再現するプロジェクトを一手に引き受け、その遺志とエコロジー建築家のヨアヒムエブレ氏の最先端のエコロジーデザインとを融合し完成した。

 

17棟450世帯が住む大規模な集合住宅で、敷地にはバラエティに富んだ樹種の木々を計画的に配置し、いたるところに緑があふれ、ビオトープ、木の遊具、アイアンワークのアートなどと併せて、集合住宅でありながら豊かな自然環境に囲まれた住環境を完成からわずか8年で造っている。当然ながら外壁は漆喰、内装には無垢材フローリング、自然塗料など自然素材を多用しているが、これは建築の最大のエコロジーが「100年以上の長寿命住宅」であれば「わずか10年20年で取り替える必要のある素材は使うべきではない」ということ。

 

また、エネルギーは自給自足に近づけ、屋上に巨大なソーラー発電、太陽熱温水、そして木質ペレットによる集中暖房と給湯、それらのエコロジー設備による二酸化炭素の削減効果を、住民の誰もが意識できるよう、エントランスには大きなパネルでリアルタイムに削減量が表示される。しかし、なんと言っても驚くのはGSWという民間デベロッパーが開発したにもかかわらず、最先端のエコロジー設備が完備され、更に住宅価格さえも低く抑えられている。結果、居住する第一の理由はエコロジーではなく「価格」であるということだ。ここに今後の日本が省エネ、二酸化炭素削減において成功できるかのヒントがある。

 

エコロジーがエコノミーと融合することで、エコロジーが広く普及し、結果的に「持続可能」で「人間にとって住みよい社会」を実現することが、ここドイツで実証されている。その社会は決して「地球環境のために我慢」を強いるものではなく、ある一面では日本やアメリカの社会より豊かでゆとりにあふれていると言える。

Day3

ハンブルクのソーラー住宅

 

リボス社見学 ケーニッヒセミナー

 

ウォルフスブルク 文化センター

デザインとこだわりが溢れている。15の照明器具や家具や素材の使い方も素晴らしいが、いたるところにアアルトの芸術作品としてデザインなど含めて見所満載。日本の桂離宮を思わせる。

Day4

アンクルトムの小屋 集合住宅地見学

建築家ブルーノ・タウトの色使いが圧巻。

19世紀の不健康的な灰色の街並の色を一変させた

ブレンネ設計事務所にてタウト建築の復元の仕事についてのセミナーを受ける。

 

ハインリッヒベール集合住宅を見学

3年前にも見学したが、劣化は見られず、木部の焼け位が確認できた。

 

ベルリンの壁/和解の教会見学

教会は3年前と比較すると木の焼けがとても印象的であり、ドイツの歴史を深く知る上でもとても興味深い場所であった。

ドイツ北部の環境地域 キールからエッカーンフェルデ世界遺産の古都リューベックから車で小1時間の場所にあるのが、わずか2万3000人の環境最先端の町「エッカーンフェルデ」だ。ドイツ北端に位置するこの町は、南のヨットの町キールと北のシュレスビッヒに挟まれて、南北に走る幹線と鉄道の通り道としてだけ知られる町であった。しかし80年代中ごろから、ただ通過するだけの「住む価値の無い町ではなく、住むに値する町を作ろう」と市民が中心になって環境に取り組み始めた。

ベルリンの元東西国境に建つ「統一の教会」

Day5

ルートヴィヒ設計のデザイナーハウスを見学

105年前の建物を15年前にリフォーム

 

ポツダムのエコロジー集合住宅を見学

ブレンネ、エブレ設計

元軍用地で博覧会後、住宅地区開発として、戸建て住宅(アメリカ資本)と集合住宅が立ち並ぶが、かなり売れ残っている状態で、土地分譲がメインになってしまった。

 

アインシュタイン塔/ハンスオットーシアター

天体物理学観測所の見学とゴットーフリート・ベーム建築の文化劇場施設見学。ガスタンクと風車を残さなくてはいけない設計条件の中、表現は豊かで個性のある建物。

 

Day6

デッサウ 連邦環境庁(UBA)見学

1992年設立が決まり、環境汚染地区だった為、環境保全、意識改革としてデッサウが選ばれた。

160の設計公募の中からザウアーブルッフ・ハットン・アーキテクツによる設計。

色と形は自然に適したもの、究極の「エコバウ建築の実現」と最高レベルの省エネ、節エネ、バリアフリーの4つの条件を満たしている。

エネルギー効果20%新エネルギーで賄う(ソーラー、太陽熱、地熱など)

 

バウハウス見学(グロピウス)

1925年芸術大学として設立

芸術と技術を融合して近代的工業文化の発端。

総合芸術と建築教育の目指す原点。

今から約80年前にモダン工業デザインの学校として建てられたバウハウスは、多くの芸術家、建築家を産み出したが、’32年に閉鎖された。その後第2次世界大戦の空襲で損壊したが、’75年から復元され、現在は世界遺産として建築当時の美しい姿が復元されている。バウハウスは「機能性によりデザインする」をテーマに、できるだけ「簡素で使いやすく、全ての人々に合うデザイン」を追及した。無駄を一切省いた結果、自然光、照明、素材による陰影による変化にこだわり、直線だけで作られた建築でありながら、機能一点張りの建築にありがちな冷たさではなく、心地よさを感じた。ガイドの解説でわかったが、バウハウスのデザインには日本の住宅の影響が見られ、障子の格子の様な窓、ふすまの様なドア、漆のような漆黒の建具など、それらがモダンなデザインとして採り入れられていた。そして、やはり鉄、ガラス、外壁の白い漆喰などの素材感も落ち着きを感じさせる。本物の素材が作る普遍的なデザイン、そして百年近く経って尚新しい、これもエコロジー建築である。ワルター・グロピゥスが言ったと言う言葉が印象的だった。

「外壁と言うのは漆喰の白がよい、白は光の変化や木々の緑を引き立たせる」

 

参加者さまの声

とにかくすばらしい(エコバウツアーが)すごく参考になる、勉強になる、建築家としての原点に帰れるなどが多くの意見が聞かれた。

 

特に、野沢先生の意見がとても建築的スパイス要素を秘めており、建築の奥深さやエコロジーという観点の方向性をきちんと示されたりして、さまざま部分でそれが読み取れたし伝わった。

 

まさに今回のツアーは、エコロジーだけではなくデザインなども考えるツアーになったとも思う。そういう面では、いつもツアーに参加するとどこか消化不良な部分があったのが今回は全くなく逆に刺激を受けた部分が多かった。(ルイジアナ美術館、ウォルフスブルグの文化センター、バウハウスなど)

 

その原動力としては、ツアー参加者などから得た情報など学べることがたくさんあった。

 

 


パンフレットPDF

 

 Pictures 

 

ツアーコーディネーター TOUR COORDINATOR

Holger Konig ホルガー・ケーニッヒ

1951年ミュンヘン(ドイツ)に生まれる。ミュンヘン工科大学及び大学院で建築を学ぶ。1983年にエコロジー建材店や家具工房を設立後、設計事務所も主宰し、建築家、家具職人、建材流通の多様な経験を持ち、バウビオロギー・バウエコロジーを踏まえた住宅、幼稚園、学校を数多く手がける。
主な著書としてドイツでベストセラーとなった「健康な住まいへの道」(1985年初版・1997年第9版)があり、2000年に日本でも翻訳、出版される。1996年から2001年まで、自然建築材料の建築業者の集まりであるÖKO+ AGの取締役会の議長を務める。以降もそれまでの経験を生かしたさまざまなバウビオロギーや木造プロジェクトの管理や研究を任され、現在も活躍中。

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