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【ごみゼロで実現!】新築マンションの内壁リノベーション

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    スイス漆喰

    環境問題

 

最近新しく取り扱いを始めたスイス粘土壁材・レームプッツでも度々お世話になっている左官の有限会社八幡工業さまより、日本の住まいづくりに新しい可能性を感じる嬉しい施工事例をいただいたのでご紹介いたします。

舞台は東京都内の新築分譲マンション。お施主さまの粘り強い交渉と訴えかけにより「ごみゼロ」にて内装をカルクウォールで仕上げることが実現しました。どういった経緯で「ごみゼロ」を可能としたのか、今後より身近なものとして自然素材の採用事例を増やすためのヒントとして、ぜひ最後までご一読ください。

 

シックハウス症候群のない住まいへ

お施主さまのご家族の中に、シックハウス症候群が原因ではないかと考えられる体の不調に長年悩まされている方がいたそうです。そのため、今回の転居にあたり「化学物質を放散する建材・内装材・家具などを避けたい」という切実な希望のもと、内装にスイス漆喰をご使用いただくこととなりました。

 

スイス漆喰の特徴には

・多孔質で吸放湿し、湿度をコントロールするため快適な室内環境に

・強アルカリ性でカビの発生を抑制し、空気中のウイルスや匂いも吸着分解する

・静電気を発生させず空気中に埃が舞いにくい

といったことが上げられ、日本の住宅のほとんどを占めるビニールクロスによる「掃除をしても部屋が埃っぽい」「湿気がこもる」「壁が結露しカビが生える」といった問題、それに伴うシックハウス症候群を改善することができます。

 

ビニールクロスとの室内環境の違いについて、詳しくはこちらもご参照ください。

 

カルクウォールと八幡工業さまの左官の技により、リビングはもちろん寝室や廊下まで素敵な漆喰のお部屋が完成いたしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごみゼロのリノベーション

ここまでは「新築の家を漆喰にしたんだ、素敵!」だけのお話のように思いますが、冒頭でも記載しておりますがこちらは「新築分譲マンション」です。新築戸建、通常のマンションリノベーションとは異なる特筆すべきは、このお部屋を石膏ボード下地の状態で引き渡していただいたということです。

お施主さまはアメリカでの居住経験があり、そこで家づくりに対して化学物質の規制に厳しい海外でのリフォームを経験されたそうです。そのため「最初から漆喰工事をするつもりなのだから、すぐに剥がすビニールクロスをわざわざ貼る必要はない、その方が手間もごみも削減できる」というエコロジーの観点から、分譲契約で取り決められていた「ビニールクロス貼り済み」を、お施主さまの熱心な交渉により特別に下地の状態で引き渡していただいたことで、今回の「ごみゼロ」での漆喰リノベーションが実現いたしました。

 

自然素材を広める中での課題

イケダコーポレーションでは内装仕上げとしてカルクウォールの他に、天然粘土塗料レームファルべによる塗装仕上げ、無垢材のオイル仕上げなどもご案内しております。いずれもメンテナンスが容易で室内環境を快適にし、何より経年劣化や模様替えでのリフォームの際にビニールクロスのゴミが出ないことがメリットである「エコロジーな建材」です。

最初から自然素材での内装に決められている新築戸建であれば何も問題はございません。劣化したビニールクロスからのリフォームも、すでに廃棄せざるを得ないもののため仕方がありません。しかし「まだ新しいビニールクロスを貼っているけれど、健康と環境に良い自然素材の仕上げでリノベーションしたい」といった場合には、「まだゴミにすべきではないゴミを増やす」ことに少々複雑な気持ちになってしまいます。

 

日本国内では年間約10万トンのビニールクロスが産業廃棄物として廃棄されており、これほどの量は先進国の中でも日本だけです。なぜ日本ではこのようなことになっているのかについて、以前に「ごみゼロの日」のコラムにもまとめております。

 

そもそも日本では高度経済成長期以降、建築に限らず大量生産・大量消費、余った物は使い捨てることが当たり前だった時代。SDGsなどの広まりで徐々に緩和されてきているとはいえ世界的に見ればまだまだ遅れています。リユース・リサイクル以前に「今あるものを壊さずに使い続ける」という意識が非常に低い日本に比べ、世界では作る段階から可能な限り長く使えること、そして将来廃棄される時のことまでしっかり考えられています。

一度貼られたビニールクロスは、すぐに剥がそうが何年後かに剥がそうが全て「産業廃棄物」です。なので自然素材の内装に変えることで家を長持ちさせ、かつ健康で快適な室内で過ごそうという考えで弊社製品を選んでいただく方が増えることは大変嬉しいですが、そのためには「まだ使えるものもごみにしてしまう」という段階であることが、今の日本の実情なのだということから目を背けてはいけないと思っています。(日本という国の問題なので、当然このことでお施主さまや施工業者さまを責めるのは論外です。)

ビニールクロスが壁に貼られる前の「ゴミ」でない段階で、自然素材の内装仕上げをより多くの方に選択していただけるように、「もっと早く知っていたら」という方を減らせるように、日々の営業活動や情報発信により力を入れなければならないと改めて感じました。

 

今回のお施主さまは海外での経験もあり、「新品のビニールクロスをゴミにしてしまう」という最も避けたい課題を見事に解決されました。現状の日本での様々な取り決めの中での交渉は大変だったと思います、そして最終的に了承されたマンションのオーナー/管理会社さまも大きな決断をされたと思います。

 

しかしこうした選択をできることが、今後誰にとっても当たり前になれば良いと心の底から願います。

 

八幡工業さまのこの度の事例は、まさに自然素材が日本に浸透するために抱える課題への大きな一歩です。

より多くの方に「こんな事例がある」ということを知っていただき、どのような状況からでも必要な方がベストの状態で「ひとと環境にやさしい住まいづくり」を実現できる一助になればと、今回のコラムを執筆させていただきました。ここまでお付き合いありがとうございます。

「うちもお施主さまとのこんなストーリーがある!」というお話がございましたら、ぜひお声がけいただき共にエコロジーの輪を広げていけますと幸いです。

 

マーケティング部 沖本

 

この施工事例に関する八幡工業さまのコラムはこちら

ぜひあわせてご覧ください!

 

 

 

 


 

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