とうほく走り描き‖第45回 『街を変えるデザインと性能』
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コラム
第45回 『街を変えるデザインと性能』
武部 英治専務(武部建設株式会社)
寒い冬季のトレーニング対策のため、今年は練習レースに積極的にエントリーしている。2月初旬には、河川敷を走る30kmラン。川からの風が予想以上に冷たく、長袖Tシャツ1枚の軽装で体力とともに気力も奪われる。ペースが落ちると体が冷え、体が冷えるとまたペースが落ちるという悪循環でタイムもボロボロ。反省を活かして2月中旬のハーフマラソンは、十分な防寒対策で快走「体温維持が活力に直結する」と痛感した。
北海道の住宅は断熱のレベルが高いが、岩見沢の武部建設株式会社は、その中でもトップランナーの1社と言えるだろう。30kmレースの翌週訪問し、専務の武部英治さんに建築中の企画住宅のモデルをご案内いただいた。工事中なので当然無暖房だが、好天の下の日射取得でほのかに温かい。武部建設の前身は、武部さんの父と祖父が立ち上げた武部木工所。無垢材をふんだんに使ったモデルの内装は、創業時の事業を連想させる。仕上げにはリボス自然健康塗料の浸透性オイルをご採用いただいた。
武部専務は設計事務所勤務を経てUターン。その後30年以上、実兄の社長と二人三脚で家づくりに携わっている。「御社の住宅が街の雰囲気をつくっているのでは?」と訊くと「そんなことはないよ」と。それでも市内を車で走り、建ててきた家々を見ると「やっぱり、いいと思うねえ」とにこやかだ。その実力で、岩見沢市外からの引き合いも増えている同社、今回のモデルハウスには、地元回帰の思いも込められている。若い人が取得しやすい価格帯、可変性のある間取り、住み手が変わっても「100年使ってもらえる」家が、コンセプトとなっている。中でもランニングコスト低減につながる住宅の温熱環境は、永く住まうための重要な条件だ。
良質な住宅は、その街のインフラだと私は思う。確かな住宅性能をベースにした今回のプロジェクトが、岩見沢に新たな活力を与えていく予感がする。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2018年3月 北海道住宅新聞掲載】