とうほく走り描き‖第51回 『引き継ぐ地域の手づくり』
-
コラム
第51回 『引き継ぐ地域の手づくり』
清水畑 貴彦さん (有限会社清水畑建設)
例年にない猛暑、突然降り出す激しい雨など、この夏は走る気持ちが削がれるような日が多かった。しかしそれを言い訳にさぼると、必ず走力は落ちていく。暑い日は普段より距離を減らし、練習途中の雨は雨宿りしながら、少しずつでもあきらめずにトレーニングすることがアマチュアランナーには大切だ。
盛岡市の有限会社清水畑建設は、仕事のほとんどが地域密着、新築・リフォームなんでもこなす典型的な地場工務店で、清水畑貴彦さんは2代目だ。柱・梁も手刻みができる熟練した3人の社員大工がおり、「年間3棟、手刻みで新築ができれば、技術を残していける」と技術継承への思いを話す。コストを考えてプレカットも併用せざるを得ないが、それでも年間2棟ほどは手刻みで納めているそうだ。地元の住宅会社で働く、近い世代の仲間たちとも積極的に交流・情報交換し、断熱性能についての技術・知識なども高めてきた清水畑さん。「どれだけお金をかければ、どれだけ断熱性能が良くなるかわかる」ようになり、限られた予算の中で、温熱環境とお客様の住宅への夢をどうバランスをとるか、かえって悩むようになったという。以前、弊社の天然スイス漆喰も、お施主様による施工を取り入れてご採用いただいたことがあった。簡単に割り切れない一人一人のお客様の気持ちと向き合い、丁寧に折合いをつけているようだ。
同社に今年、地元の高等技術専門校卒で大工を目指す、若いメンバーが加わった。30年以上一貫して自社大工での施工を続け、先輩大工がいるからこそ新たな職人も採用できるのだろう。 清水畑建設の事務所の周りには、先代が手入れされているという見事な鉢植えが並ぶ。親子二代が日々続けてきた仕事ぶりを感じる景色である。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2018年9月 北海道住宅新聞掲載】