とうほく走り描き‖第63回 『使い込む良さを伝える努力を惜しまない』
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コラム
第63回『使い込む良さを伝える努力を惜しまない』
滝口 敦さん(滝口木材株式会社)
マラソンを始めて8年、ケガや痛みもなく続けられる理由のひとつに「まっすぐ走る」ということがある。足首や膝が左右にぶれないように丁寧に走るのだ。以前このコラムにも登場いただいた福島県いわき市・豊田設計事務所の豊田さんに「足の関節は、前後の動きには何万回でも耐えられる」と聞いたのを参考にしている。豊田さんは大の自転車フリークで、毎年本州横断ツーリングを敢行。いわきで太平洋からの日の出を見てスタート。西へ西へと走り、新潟で日本海の 夕日を見てゴールという豪快な企画である。
同じいわき市内に、リボス自然健康塗料の販売代理店、滝口木材株式会社さんがある。自然塗料に限らず、手間がかかることが製品採用のハードルになることもある昨今の状況をふまえて、取締役の滝口敦さんと協力しながら、自然塗料塗装済み製品の商品化を進めている。 大学院まで進んで経営学を学んだ秀才だが、積極的に手を動かしながら考えていく印象がある敦さん。樹種・使用製品・工程などを変えながら、自ら製作した大量の塗装サンプルに、驚かされたこともあった。在学中の専攻とは 畑違いの二級建築士の資格をとったことも、実際の建築現場で木材をどう活用していくかを深く考えるためだろう。無垢材は、合成樹脂や合板よりも寿命の長い材料だ。「オイル仕上げの木材は、手入れをしながら長く使える」ことを敦さんもよく理解していて、塗装によって表情を変えていくことも含め、造作で木材が「どう見えるか」も研究していきたいと考えている。
同社の主力商品は、柾目の美しさが特徴の南洋材・アガチス。自然塗料の取り組みも、アガチスの木目のように、まっすぐに息の長い事業になるようお手伝いできればと思う。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2019年9月 北海道住宅新聞掲載】