とうほく走り描き‖第64回 『ぶ厚い工務店の トップグループ 』
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コラム
第64回『ぶ厚い工務店の トップグループ 』
芦野 和範さん(株式会社芦野組)
五輪出場権を賭けて、今年初めて開催された、マラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)が話題を集めた。トッフランナーたちがしのぎを削る姿に、テレビの前で釘付けとなった方も多いと思う。
9月下旬に開かれた、新住協(※1) の全国研修会では、住宅性能を中心テーマに、良質な住宅づくりに情熱を傾ける地場ビルダーが仙台に集まった。懇親会の席で、旭川市の株式会社芦野組社長の芦野和範さんからお話をうかがった。新住協の前身である新在協(※2)発足時から会に参加、北海道の高断熱・高気密住宅を牽引してきた トップランナーの1人と言えるだろう。素材への関心も高く、リボス自然健康塗料の古くからのユーザーでもある。
芦野さんが、先代からの会社に専務取締役として入社したのが1985年。建築については未経験で、地元の土木会社からの転職だった。当時の北海道の住宅業界では、正しい理論の裏付けがない断熱部材や工法も散見され、同社もそれが原因で結露などのクレームを経験してきた。そんな状況から「しっかりと知識を身につけなければ」と新在協への参加を決めたという。「今まで地場工務店として仕事を続けられたのは、この会のおかげだった」と話す。ともに住宅を研究する仲間がたくさんいる一方、経営状況の変化など様々な理由で、交流の輪から離れていってしまった会社もある。懐かしそうに、また少し寂しそうに芦野さんは昔を振り返る。
MGCでは、設楽悠太選手がスタートからハイペース飛ばし、一時は 2 位以下を大きく引き離した。結局14位に終わったものの、積極的なレースを評価する専門家もいる。かたや住宅づくりの担い手である地場ビルダーは、圧倒的な1位の存在より、層の厚さが地域の豊かさ・多様性につながると思う。このまま笑顔でトップグループを走り続けて欲しい芦野さんである。
※1:(一社)新木造住宅技術研究協議会 ※2:新在来木造構法普及研究協議会
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2019年10月 北海道住宅新聞掲載】