とうほく走り描き‖第65回 『人のネットワークが 信頼築く 』
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コラム
第65回『人のネットワークが 信頼築く 』
星野 明さん(意匠屋)
郡山・須賀川・いわきなど福島県内各地が被災した台風19号による 大雨直後の10月27日、福島市郊外の「茂庭っ子マラソン」フルマラソンの部に出場。開催に際して、台風などで中止が相次いだ県内・近県のレースの分も楽しんでほしいという主催者の思いもあったようだ。大きな声で選手を励ます給水所の高校野球部員。ゴール直後には、賞品のタオルをボランティアが完走者一人一人の肩にかけてくれ、大鍋のきのこ汁が振る舞われる。フル・ハーフ・10km全種目合わせても、出場約650人という規模で、手作り感あふれる、なごやかな大会だった。
今回の雨は、仙台市内にも影響。クライアントから床下浸水の連絡を受けた意匠屋・星野明さんは、スタッフを持たない設計事務所。迅速な現場対応には限界があるが、その日「たまたま」 現地の近くにいた大工さんから別件で電話があり、現調に向かってもらうことができ、スムーズな対処につながった。石巻市出身で、都内の大学を卒業後、就職した設計事務所は、入所時には何人か先輩がいたものの、いつのまにかボス(所長)と二人きりとなり、必然的に一人で様々な業務をこなす立場となった。その経験を糧に仙台で独立後も、所員を置かないスタイル。弊社とは気がつけばご縁があり、内装仕上げでリボス自然健康塗料を採用いただいている。
仕事の流れの中で自然に、しかし着実に人のネットワークを創ってきた 星野さん、先述の大工さんの対応も「たまたま」だけではない。新築の住宅設計をメインにしてきたが、職人不足、資材価格の上昇などにより、求める品質が思うようなコストで実現しにくくなっていると星野さん。最近は非住宅や改修の仕事も増えているが、どんな案件も「よりクォリティを高めていきたい」と話す。培ってきた人とのつながりの中からコスト以上の何かが生み出されるかもしれない。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2019年11月 北海道住宅新聞掲載】