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とうほく走り描き‖第67回 『震災経てパッシブデザインへ 』

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とうほく走り描き67回イラスト

第66回『震災経てパッシブデザインへ 』

渡辺 高司さん(空間工房 D.O.A(ドア)

 

2019年の走り納めは、仙台駅から「ゆりあげ港朝市」へ、約20kmのマラニック。名取市・閖上(ゆりあげ)は、東日本大震災の津波で被災した地区だ。昔ながらの漁師町だった場所に、今では高層の災害公営住宅や真新しい水産関係の工場が立ち、景色が変わってしまったが、震災前から続く「朝市」には往時の雰囲気があり、復興のよりどころともなっているようだ。

 

地震・大雨・夏の猛暑など、自然の脅威にさらされ続けてきた平成。住宅についての考え方に変化のあった方も多いのではないだろうか。福島県郡山市の空間工房 D.O.A(ドア)さんも、2003 年の創業から確実に家づくりを進化させてきた。スタート から確かな断熱性能を意識したという渡辺高司さん、それにプラスして「太陽エネルギー」や「風」という自然の力を取り込む「パッシブ設計」を徐々に志向するようになった。暖冷房システムも独自に開発、エアコン 1 台で快適な温熱環境を実現している。それらにともない、劇的に変わったのが外観。

 

キューブタイプの社屋と同様、軒無しのスタイリッシュな設計が以前の基本形。しかし震災のあった 2011年に、初めてしっかりと軒の出がある家を建て、その後数年の移行期を経て現在は、落ち着いた切り妻屋根が標準となっている。伝統的な古民家にも切り妻屋根は多い。私見だが高温多雨の気候には、やはり適していると感じる。最近の強い雨の降り方を見るとなおさらだ。渡辺さんと長く仕事をともにするスタッフの方々の雰囲気も柔らかく、私の同社に対する印象は「安心感」。リボス自然塗料も、長年に渡って全く変わらないペースでご採用いただいている。お客様や社会の住宅に対するニーズは「時代とともに」変わっていくから、毎年「1、2 割レベルをあげて、やっと現状維持」と穏やかに話す渡辺さん。

 

令和の時代、また少しずつ新しくなっていく姿に注目していきたい。

 


〈筆者プロフィール〉

中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。

中島さんプロフィール画像


 

【2020年1月 北海道住宅新聞掲載】

 

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