とうほく走り描き‖第70回 『IT技術で職人を輝かせる』
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コラム
第70回『IT技術で職人を輝かせる』
樋口 健人さん(有限会社樋口板金)
新型コロナウィルス感染の拡大で、 外出や移動も制限され、人と接する機会が減っている。そんな中、Web会議など、新しい技術の導入が住宅ビジネスの世界でも加速している感がある。
建築業界でも技術開発が日々行われているが、札幌の(有)樋口板金・社長の樋口健人さんは、積極的なチャレンジャーの1人だと思う。屋根板金の仕事がメインで、ドローンによる屋根・外壁の診断・撮影を取り入れている記事を当紙で読んだ方もいると思う。屋根に上る時間の節約だけでなく、クライアントと同じ画像を見ながら話せるのもメリットだという。
道内の建材展示会で、当社のブースで声をかけられたのがお付き合いの始まりで「板金屋さんが、なぜ自然塗料?」 と当初は思ったが、その後事務所のテーブルやご自宅のウッドデッキをリボス自然健康塗料で自ら塗っていただいた。 「樋口板金のことを知ってもらわなければ、樋口板金がないことと同じ」と HP、ブログなど情報発信力も素晴らしいが、基本は職人であり「現場を格好良くおさめて」施工の技術を見てもらいたいという強い思いを持つ。いろいろなことに興味を持ち、工務店関係はもとより、建築家、研究者、さまざまなメーカー関係者と交友も幅が広い。実はこのコラムの企画も、当紙の白井社長を交えて樋口さん行きつけの店に飲みに行ったときの会話がきっかけだった。
コロナの影響で、マラソンの大会も次々と中止となっている。自分の体で走ることは、I T技術などでは代替えできず、今多くのランナーがストレスを抱えていることだろう。樋口さんが抱える悩みは、やはり若い職人の育成。職人の手も、機械で代えられないものだろう。先端技術と自分の体の両方を駆使し、今日も北海道の屋根を守り続ける樋口さん。コロナが終息したらまたリアルでゆっくり話がしてみたい。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2020年4月 北海道住宅新聞掲載】