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【レポート】エコバウ建築ツアー2019(Day.5−Day.6)

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第23回 スイス・南ドイツ
エコバウ建築ツアー2019 レポート

– 持続可能な省エネ・木造建築と自然と調和する建築デザインの旅 –

\エコバウツアーレポート第3弾!/

 

今回のツアーの目玉でもある「オフグリッド集合住宅」の見学をメインに、スイスウィンドー社やスイスでも最先端住宅である「ミネルギー・P・エコ」認証を受けている住宅を訪れました。

Day.5

5日目は、ブリュッテン村のオフグリッド集合住宅を見学しました。

設計施工:環境アリーナ社のプロジェクトにて、優良ECO企業が多数出資

 

プラスエネルギー オフグリッド集合住宅(9世帯)

【特徴】
・24時間365日自給自足で完全独立
・高度な省エネ技術?の導入
・スマートなエネルギー自動制御(バッテリー、地中熱、水素製造・燃料電池等)
・エネルギー料金を含む家賃設定
・最新エコカーの導入・共用

電力会社や地域からの送電網はもちろん、ガス管もオイルヒーターも必要とせず、エネルギーを100%自給自足で賄うブリュッテン村のオフグリッド集合住宅。

南向きに建つ建物には、屋根・壁面に3S Swiss Solar Systems(https://www.meyerburger.com/de/
)の太陽光パネルが設置され、主なエネルギー源となっています。1時間の日射で9世帯の24時間分の自家消費が賄える高性能の建物です。

敷地内には蓄電池と水素の蓄電池があり、太陽光発電の余剰で水素を作っています。地下にも水素の蓄電池用のタンクがあり夏の間に蓄電し、冬場には暖房熱を作るという長期的な蓄電設備として設置されています。また、機械からの排熱で55℃のお湯を貯蓄し、3つの地中熱採熱管により建物を循環し床暖房や給湯の熱源として利用しています。地下から伸びる煙突は水素を逃がすために設けられています。

 

悪天候が続く時期には、水素から熱を取り出して電気として利用しており、機械の排熱も利用し熱と電気を併用しています。建物内全ての照明にLEDを採用し、家電はスイスの省エネ評価基準を満たすA++の家電を使用することでも省エネにつながっています。エネルギーの使用量は住民が各自の消費量を電気パネルで確認でき、可視化することにより使い過ぎも防げているとのこと。2014年の建設以降、予想以上に電気の余剰が多く売電を行うようにまでなったそうです。

 

外出時にはボタン1つで全ての電気系統のオンオフができるスマートなエネルギー制御も快適に暮らせる理由の一つでもあります。

もちろん断熱の面でも省エネ対策を徹底しており、ロックウール断熱材で天井から床下まですっぽり覆い、窓枠にはトリプルサッシを採用しています。構造材には蓄熱容量が大きい木や粘土、コンクリート素材を採用することでさらに性能を上げています。窓とバルコニーにはヒートブリッジ(熱橋)ができないように、木造を採用するなど工夫されていました。高度な省エネを実践するには、建物とのコンビネーションも重要とのことでした。シンプルでコンパクトなデザインの建物は熱損失も少なく、また屋根だけでなく家全体から地下まで断熱することが大事と仰っていました。

 

集合住宅内には、デベロッパーから提供された共有のエコカーが設置されており、この地域で作った生ゴミから作るバイオガスで走ります。生ゴミ1kgで1㎞走る高性能で、住民の快適な足となっているようです。こちらのオフグリッド集合住宅は、ヨーロッパの中でも多くの視察が行われる程の興味深いプロジェクトであり、最先端の設備技術の多くが試されていました。

 

印象深かったのが、各世帯の住まい手がエネルギーの見える化で徐々に意識する生活に変化していく点。東日本が大きな台風の影響を受けている最中で、より考えさせられるテーマにもなりました。

エネルギー供給に頼ることなく、豊かな住まいが可能だということを目の当たりにした視察でした。

Day.6

最終日の6日目は、ミュルハイム村 木窓会社スイスウィンドーの工場見学からスタート。

2009年創業の木製サッシメーカー。スイスでは窓は基本的にオーダーメイドされ、各地域で作られることが多いとのこと。木製サッシは建物の付加価値を高める為、地域の材が使われているということです。スイス国内では、安価な輸入サッシが増える中、メンテナンスを含め素材や耐火、防犯面など高品質なサービスが求められていると仰っていました。

 

その後、ワインフェルデン市ミネルギー・P・ECOの二世帯ゼロエネ住宅を見学。案内してくださったのは、お施主さんでもあり県庁エネルギー担当職員でもあるマルティン・ミュラーさん。

設計:トーマスメッツラー氏

 

スイスソーラー大賞を受賞された最先端の住宅。

ひときわ目を惹く外観の金網は屋根から吊り下げられ、緑化とテラスの柵の役割にもなっていて安全性・省エネを考えた設計になっています。ミネルギー・P・ECOは溶剤を使っていないという証明でもあり、インテリアにもエコ建材が使用されています。

※Minergie-P-ECO(ミネルギー・P・エコ)
スイスにおける省エネルギー建築認証制度の基準。ミネルギーP(パッシブハウス基準に相当する)とミネルギーエコ(エコバウ認証)双方を満たす建物に与えられる認証。省エネルギー性・エコロジー性・健康面のすべてを満たすことを示す。

 

2階は木造、1階はコンクリートとレンガで造られており、高齢になった時のことを考えて1階はバリアフリーにしたとのこと。スタジオと賃貸の部屋も作り、現在の住居は2階で年頃の子どもさんと3世帯で住まわれています。

 

 

ここから、フラウエンフェルト市へ移動し、トゥールガウ州庁舎で特別セミナーを受講しました。

テーマは、「トゥールガウ州のエネルギー政策と省エネ建築の促進」

 

先に伺った二世帯ゼロエネ住宅にお住まいのトゥールガウ州内務・国民経済省エネルギー課マルティン・ミュラー氏が講師を担当されました。

 

スイスは日本より降雨量が少なく第3地域と気候が似ており、特に青森とチューリッヒは似ているがチューリッヒでは夏の冷房が今のところ必要ではないということでした。エネルギーの消費量の傾向はピークよりも下がりつつあるが、それでも全体の電力消費は上がることが予想されているとのこと。

 

もっとも課題になっているのは基準に満たない既存住宅の改修でGEAK(ゲアック)=改修基準も定められています。ミネルギー・P・ECOよりもさらに厳しい基準であるミネルギーP・A・ECOのスタンダードが設けられ、これらは改修のための助成金でもあり様々な規定や制限が課されます。建材の生産エネルギーや解体方法なども含め、ミネルギー品質管理など建設中にも多くのテストやモニタリングが行われています。

 

ミュラーさんの住む町はスイスで一番エネルギー住宅が多く、モデル地域にもなっています。ただ、ミネルギー基準が一般に普及しづらい背景には、多くの人が自然換気を好みミネルギー基準の対象でもある換気設備を好まないからという課題もあるとのことでした。

今回のツアーでは、スイス・南ドイツの国を挙げての建築や住宅に対するエコ基準の高さ、エネルギー排出量の削減に対する意識の高さなどあらゆる面に国民性が現れていました。

 

環境問題への新たな取り組みと日本でも応用できることがたくさんあるということを再認識でき、今回も収穫多き旅になりました。

 

\エコバウツアー2019プチ発見!/
・一般住宅には換気レンジ(レンジフード)がほとんどない!(自然換気を好む)
・モミ材白色仕上げ(ソープナッツフィニッシュ)がブーム?新築の内装仕上げはほぼこれ!
・床のモルタル左官仕上げがオシャレ!(デザインバランス&掃除、手入れのしやすさから)
・内装仕上げ・インテリアの色の使い方に脱帽!
(全体的に木材を白色で仕上げ、アクセントカラーを要所で使うなど)

 

23回目も全国のエコバウの輪が一つに繋がりました!次回のエコバウ建築ツアーもどうぞご期待ください!!

 

  レポーター:イケダコーポレーション東京営業所 安田辰徳

安田さんプロフ画像   

 

1−2日目はコチラ→『エコバウ建築ツアーレポート(Day.1−Day.2)

3−4日目はコチラ→『エコバウ建築ツアーレポート(Day.3−Day.4)

番外編はコチラ→『エコバウ建築ツアー2019(番外編)

 

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