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とうほく走り描き‖第12回 『理解者の少ない宮城で・・・』

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とうほく走り描き12回イラスト

第12回 『理解者の少ない宮城で・・・』

今野 義博さん・真幸さん (有限会社今野建業

 

「3.11を忘れない東京~仙台400kmリレーマラソン」 というラン企画をご存知だろうか? 東京在住のランナーたちが企画し、4月~ 5月の土日・休日を使い、東京から仙台まで一本の襷をつないで走る。東日本大震災の後、支援は難しくとも「忘れない」ことで被災地に寄り添う、という思いが込められている。10 km前後の1区間を、揃いのTシャツでラン初心者も上級者もペースを合わせて走っていく。

 

12区間走った昨年に続き、今年も参加。東京~仙台のメインルートとは別に、宮城県沿岸北部の気仙沼(けせんぬま)~仙台の南・名取まで185kmを3日間で南下するスペシャルチームに、途中の女川(おながわ)から同行、復興途上の沿岸部を走った。住宅断熱に焦点を当てて3.11直後を思い起こしてみると、性能差がはっきりとわかる状況だったと言えるのではないか。熱源の電気もガスも止まり、室温の低い中で耐えていた人がいる一方、高断熱の家で寒さに震えることなく過ごした人たちもいた。例えば、仙台市内にある新住協事務局のAさん宅などは、無暖房でも18°C前後の快適さを保っていたという。そのAさん邸を施工したのが、宮城県南で活躍する「今野建業」さんだ。研究熱心な今野義博社長は、リボス自然健康塗料の製品を勉強するためにわざわざ当社東京事務所まで来ていただいたこともある。15年ほど前のことだ。今では、息子さんの真幸氏が強力なパートナーとして加わり、着実な仕事を積み重ねている。派手な宣伝広告もなく、社屋に看板すらないが、仕事ぶりが人づてに広がるのか、全く面識のない方からのお問い合わせも少なくないという。

 

「断熱性能の高い躯体を、きちんと建てる意味を理解していただく」ため、お客様とは丁寧に打ち合わせを重ねるそうだ。最初のコンタクトから着工まで、一年以上かけることも多いという。ローコスト住宅と比較されないよう、説明に労力をさいている。北海道は、断熱についてはトップランナーと呼べるビルダーが多数いて、ライバル同士が切磋琢磨しながら技術を高めているように見える。意識の高いお施主様も多いだろう。一方、理解者の決して多くない宮城県でたゆまずに技術を磨いている今野さんの姿にも、頭が下がる思いだ。最近では、地元の工務店に働きかけ、少しずつ仲間を増やす活動をはじめている。今野さんとともに走っていけるビルダーが増えていくといいと思う。今回の気仙沼~名取コースの、全185 kmを走り切った強者が4人いた。ガソリン無しでも、人はそれだけの距離を移動できる。省エネの話題に接する機会の多いこの頃だが、電気もガスもガソリンも途絶えてしまうことがあることを「忘れない」でいたい。

 

 


〈筆者プロフィール〉

中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。

中島さんプロフィール画像


 

【2015年6月 北海道住宅新聞掲載】

 

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