とうほく走り描き‖第20回 『先がけて雑貨店から住宅提案』
-
コラム
第20回 『先がけて雑貨店から住宅提案』
宮田 達雄さん(クロワッサンの店)
1月は、大阪30K(サーティケー)という練習レースに参加。1km4分30秒から7分ペースまで30秒刻みで、頭に風船をつけたペースランナーが伴走する。スタートから1km6分30秒をキープ、後半はほんのわずかだがペースをあげて3時間13分で完走した。ラン友のひとりは「フルマラソンでもハーフでも、イーブンか後半少しペースが上がるのが理想」という。ペースキープの手応えと、ペースアップの難しさを体感した大会だった。工務店経営でもペースキープは重要かつ難しいテーマだと思う。
創業以来、年間数棟の新築と、大小様々なリフォームをコンスタントに受注し続け、順調に走っているのがクロワッサンの店・仙台店。仙台市内でも人気のこだわりの生活雑貨店という顔も持つ。要所に自然素材を取り入れた柔らかい空間。店舗の壁は、イベントとしてスイスウォールの内装用カルクウォールをお客様といっしょに塗ったもので、見込み客の見学にもお役立ていただいている。
50歳という年齢で、16年前に会社を立ち上げた宮田達雄社長。建築は未経験ながら、雑誌「クロワッサン」のブランド力を活かし、雑貨店から住宅提案するという新しいビジネスへの挑戦だった。今では、ビルダーがエンドユーザーとの接点としてショップ展開している例もあるが、その先駆けと言える。「紹介が多く、同じマンションで4件続けてリフォーム工事したこともありましたよ」と、 おだやかに話す宮田社長だが、設計者・監督・大工・専門工事業者、何より施主を一から開拓し、安定受注を得るには人知れぬ努力があっただろう。16年の間には事業拡大のチャンスもあっただろうが「大きくなることが必ずしもいいこととは思わない」とペースを守って来た。
3年前から会社に加わった息子の陽介さんも、社長と同じく建築未経験。「ほんとにすてきなお客様が多い」というOB客と接しながら、宮田社長の歩んだ道のりを追体験している様子だ。これから長く建築の仕事を続けていく陽介さんにとっては理想のペースランナーではないだろうか。クロワッサンの店は、当社仙台営業所オープ ン直後にお付き合いが始まった。気がつけば 私も、宮田さんの姿を見ながら13年間走って いた。
雑誌「クロワッサン」から派生した生活雑貨の
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2016年2月 北海道住宅新聞掲載】