とうほく走り描き‖第32回 『運命の出会いから・・・』
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コラム
第32回 『運命の出会いから・・・』
瀧嶋 満也さん(株式会社プラン・ドゥ・ホームズ)
出場大会の選び方は、アマチュアランナーそれぞれの個性が出る。距離や地域、季節、またロードを走る普通のマラソンではなく、山の中を走るトレイルランやトライアスロンも人気だ。今年、私は6月の「いわて銀河チャレンジ」100㎞と、4月の山形「温海さくらマラソン」30㎞にエントリー。華やかなシティマラソンでもなく、タイムを狙うような要素も少ない、静かな山道を走るレースだ。
株式会社プラン・ドゥ・ホームズは、人家もまばらな仙台市郊外、静かな田園風景の中にある。事務所の内装は、瀧嶋満也さんが自らの手で塗った天然スイス漆喰。併設のフェアトレードショップ「魔法の黄色いランプ」は奥様の担当でリボス自然健康塗料の製品の販売もしていただいている。瀧嶋さんは、仙台の建設会社に勤めていた頃に札幌勤務の経験がある。同社の北海道進出を担う立場で、本州とはまるで違う環境の中で奮戦した。その後同社を退社、仙台に戻り、新たな環境で再び住宅の仕事に就く。
当時は、まだまだ住宅市場に断熱が浸透していなかった仙台で、北海道での経験と技術を役立てて先駆的な仕事ができたという。そして運命的なクライアントとの出会いが訪れる。そのお客様は新築にあたって、無垢材・塗り壁など自然素材の使用を強く希望。無垢材のわずかな反りや割れがクレームになることもある住宅業界だけに心配する瀧島さんだったが、お客様は些細なことより素材の質感を重視する。その姿勢が、その後の瀧島さんの住宅づくりに大きな影響を与えたようだ。
12年前に株式会社プラン・ドゥ・ホームズを設立して独立。住宅の新築・リフォームのほか、店舗・古民家再生なども手掛ける。工期、予算、用途など建築には様々な制約があり、100%自然素材とはならないことも多いが、全ての案件で少しでも多く自然素材を使う。そんな気持ちをお客様に伝え、共感していただける方の仕事を選んで取り組んでいきたいと話す。手仕事も大好きな瀧島さん、事務所の隣の作業場には、知り合いの大工から譲ってもらった大量の鑿(ノミ)、鉋(カンナ)などの大工道具があり、コツコツと物作りされているそうだ。作業場には「ときどき乗ってるよ」というバイク・ハーレーも。瀧嶋さんのように、仕事も時間の使い方も、じっくりと選べたら素敵だと思う。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2017年2月 北海道住宅新聞掲載】