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とうほく走り描き‖第55回 『人と人の間で汗を流す』

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とうほく走り描き55回イラスト

第55回 『人と人の間で汗を流す』

三浦 秀章さん(平野商事株式会

 

2018年の走り納めは、仙台の「若林シーサイドマラソン」10km。前夜から早朝までは雪、レース中は晴れたものの、冷たい海風が吹く防潮堤を走る。寒さのためか、ゴール後に右腰と左膝が少し痛んだ。その後10日ほどで痛みは和らぎ一安心。関節を痛めたら、楽しんで走ることはできない。

 

出張納めは、青森。春の展示会に向けての打ち合わせで、十和田市の平野商事株式会社を訪問した。アポイントの時間に、若干遅れて現れた三浦秀章さん、緊急で材料納入が必要な現場があり、朝から奔走していたようだ。ひと昔前、地場建材店の展示会と言えば、売上重視のイメージだったが、今は工務店の受注支援という要素が強い。同社の展示会も、顧客でつくる「住宅を考える工務店の会」が主催のかたちをとり、エンドユーザーの集客に力を入れている。三浦さんは営業の主力、裏方として準備を進めている。

 

私は、入社直後から20年近く、平野商事さんを担当。展示会では、毎回忙しく、工務店の経営者や工務担当、メーカーや商社の営業スタッフと打ち合わせする三浦さんの姿を見てきた。展示会恒例の懇親会でも、隅々までテーブルを回り、場を盛り上げる。地元出身で土地勘もあり、顔も広い。携わった建物を見ると、間取りや工事時の様子が映像のように思い浮かぶそうだ。長年に渡り地域の住宅づくりに、深く関わってきたことは間違いない。

 

全国的なドライバー不足で、運送便で直接現場へ搬入できる資材に、制限が多くなってきている。ネットなどで購入した建築部材を、工務店へ支給する施主も増えているようだが、かえって現場管理しづらくなる可能性もあるだろう。強い筋力があっても、関節の痛みに悩むランナーは多い。工務店と建材メーカー、専門工事業者など、立場の違う人たちの間を日々調整して現場を納める三浦さん。しなやかな関節のような役割を果たしているのかもしれない。

 


〈筆者プロフィール〉

中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。

中島さんプロフィール画像


 

【2019年1月 北海道住宅新聞掲載】

 

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