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とうほく走り描き‖第33回 『地元の木と人でつくる家を支援』

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とうほく走り描き33回イラスト

第33回 『地元の木と人でつくる家を支援』

永沢 建一さん(永沢木材株式会社

 

岩手県一関市千厩(せんまや)町で創業70 年の永沢木材株式会社。三代目社長の永沢建一さんは弱冠40歳、地域の住宅需要づくりに一生懸命だ。永沢さんが音頭を取り、顧客の工務店10 社の参画で毎年開催、昨年で6回目を数えた「わが街大工の住まいるフェア」は、例年600人を超える来場がある。1万2千人ほどの千厩町の20人に1人が足を運んでいる計算だ。当社も天然スイス漆喰の体験コーナーで協力。ほのぼのとした雰囲気と「自分たちの手で地元の住宅づくりを!」という強い気持ちを感じるイベントだ。少ない輸送コストで地元の良質な木材が手に入るのが、産地直結の材木店と地場工務店が組む強み。

 

例えば継ぎのない長い梁材を、現場でエンドユーザーに見てほしいと永沢さんは話す。東日本大震災と2008年の岩手内陸地震、この10年間に二度の大地震があり、構造材の質が建物の耐震性に大きく影響することを肌で感じている永沢さん。地場工務店で家を建てるメリットを地域材の優位性と合わせて伝えるという営業イメージを持っている。昨今全国各地で、地域興しを目的にマラソン大会が続々と新設されている。宮城では、津波被害の激しかった岩沼市・名取市の沿岸部がコースとなる「東北・みやぎ復興マラソン」が今年10月に初開催される。2月下旬から参加募集が始まり、すでに多くのラン友がエントリーを終えた。きっとマラソンを通じた新たな交流、経済効果が生まれることだろう。一方で、地域を根元から支えるのは、その地に住み、働き続ける人たち。そして、その人たちの住む家、働く場所を作る建築業は、必要不可欠な産業だ。

 

千厩では正月に、その年に満40歳になる男性を主賓に「歳祝い」と称される酒宴が催されるそうだ。同級生のほとんどが県外で働くという永沢さん、今年は連日のように「歳祝い」に招かれ、しこたま飲まされたそうだ。かつて奥州藤原氏が、千棟の厩舎を建てたことが地名の由来とされる千厩。永沢さんと地域の工務店で、これからの千厩にどんな建物が作られていくのか、材料でお手伝いしながら楽しみに見ていきたいと思う。

 


〈筆者プロフィール〉

中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。

中島さんプロフィール画像


 

【2017年3月 北海道住宅新聞掲載】

 

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