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とうほく走り描き‖第34回 『職人生かす家づくりを模索』

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とうほく走り描き34回イラスト

第34回 『職人生かす家づくりを模索』

林 陽一さん(有限会社林工務店

 

東日本大震災以降、毎年3月11日に被災地・石巻を走っているラン友がいる。当初は3人でスタートしたという慰霊ラン、年々共感が広がっている。今年は土曜日にあたり、20人を超えるランナーがともに走った。3月11日は、雄勝病院跡地での慰霊会に参加、翌12 日は大川小学校を訪問するなど、震災当時のことを考えながら2日間で80㎞。1人ではきっと走りきれない距離だが、仲間と行くと苦しさを感じない。参加者には山口100萩往還マラニック(250㎞)、小江戸大江戸(230㎞)、佐渡島一周(208㎞)などの完走者もいて、私の知らないマラソン談義も興味深かった。

 

3月、業界は展示会シーズン。青森県十和田の展示会場で、有限会社林工務店・林陽一社長姿を見つけた。各展示ブースを熱心にまわり、先輩の工務店社長とも意見交換する。林さんは2代目社長。埼玉の総合建設会社に15年勤務し、RC・鉄骨など様々な現場を経験。「木造も出来たらさらにすごいぞ」と胸を膨らませて青森に帰ってきたが、待っていたのがお寺のお堂の新築工事。思うように図面も書けず、細かい納まりもわからず、すっかり鼻っ柱を折られたことを林さんは「こてんぱんにやられた」と笑って振り返る。それから9年。今は少しずつ自社独自の住宅づくりを始めている。お施主さまからの要望も多い自然素材の内装と、仲間の内装業者の仕事確保を両立させようと、建築中のモデルハウスでは塗装下地壁紙オガファーザーを採用していただいた。今年は新人大工も採用。「組み立て屋にはしたくない」と、育成に意欲をみせる。

 

着々と技術・知識を高めてきた林さんが、今ぶつかっているのが「経営」という課題。展示会で話し込んでいた先輩社長もまた、試行錯誤しながら経営に挑んでいるようだ。私には工務店経営は未知の世界。住宅業界を走る経営者を直接支援することは難しいが、沿道で応援するサポーターのように、支えていける存在になれたらと思う。

 

 

 


〈筆者プロフィール〉

中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。

中島さんプロフィール画像


 

【2017年4月 北海道住宅新聞掲載】

 

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