とうほく走り描き‖第26回 『 最小エネルギーで豊かな生活』
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コラム
第26回 『最小エネルギーで豊かな生活』
佐藤 欣裕さん(もるくす建築社)
秋田県大仙市の、有限会社もるくす建築社・佐藤欣裕さんは、以前からのリボス自然健康塗料ユーザーでもう十数年のお付き合いになる。 先代から地場工務店を引き継いだ32歳の若い経営者は、次々と新たなテーマにチャレンジしている。
年々デザインも洗練され、気密・断熱についての知識も深く、昨年は建築知識ビルダーズが主催する「日本エコハウス大賞」を受賞するなど、全国的に注目を集めるビルダーとなっている。昨年から今年にかけては、電力会社からの電力供給を受けない、いわゆる「オフグリッド」でご自宅を新築。構想5年を経てついに完成したその家を見学させていただいた。庭から建物を見ると、南面いっぱいの大開口と、太陽集熱パネルが目を引く。東北の中でも積雪の多い地域で、冬季は日照も少ない。しかし最新の高性能ガラスとサッシで実現した大きな開口部が、冬でも柔らかな天空光を採り入れ、雪国の住宅としては画期的に明るい室内になった。
蓄熱を考えてしつらえた地元産の石の壁は内装の意匠にもなっている。 「自然との共生」という言葉があるが、佐藤さんは住宅を 「自然から身を守るもの」と捉え「守りながら、自然から必要なものを取り入れる」工夫を凝らす。厳しい自然環境から身を「守る」ため、平地に人が集中し都市ができるのは当然としながらも、 空調はもちろん建物内での移動も電気なしには成り立たない、ガラス張りの高層ビルのような建築には、危うさと疑問を感じている。
私がマラソンを続ける理由のひとつに「いつ・いかなるときにも、相当の長距離を自力で移動できる体にしておきたい」という思いがある。笑われるかもしれないが、私なりの危機管理のつもりである。6月に完走を果たせなかった100kmマラソンだが、10月の能登半島すずウルトラマラソン(102km) にエントリーし、楽しみながら筋肉づくりにチャレンジしたい。
佐藤さんのご自宅は「電気」「熱」「温水」「食料」を建物に保存するというテーマで、最新の建築技術・設備が投入されている。最小のエネルギーで手に入れる豊かで快適な生活。佐藤さんのこれからの仕事から、ますます目が離せなくなりそうだ。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2016年8月 北海道住宅新聞掲載】