【レポート】エコバウ建築ツアー2019(Day.3−Day.4)
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第23回 スイス・南ドイツ
エコバウ建築ツアー2019 レポート
– 持続可能な省エネ・木造建築と自然と調和する建築デザインの旅 –
\エコバウツアーレポート 第2弾!/
3日目&4日目は、スイスウォールのメーカーでもあるHAGA社を訪問し、都心に建つ木造ハイブリット建築のビルから郊外に建つ一般住宅まで様々な建造物を視察しました!
Day.3
3日はとてもハードなスケジュールでセミナーから始まり、会社見学・施工事例や古民家改修&施工事例の見学と盛りだくさんの内容。
●トーマス・ビューラー社長セミナー
●HAGA社製品の実演、社屋と工場見学
●ルッパースヴィール村の旧紡績工場塗り直し事例見学
●ハンゼンシュヴィール学校の施工事例見学
特に弊社との関わりが深い、スイスHAGA社訪問についてご紹介します。
スイスHAGA社
スイスHAGA社の創業者は、スイスバウビオロギー協会の設立にも携わった経歴がありバウビオロギーのパイオニア的存在でもあります。スイスウォールは既にオーガニックだけでなくフラウンホッファーやスイスの検査機関で、一切の化学物質を使用していないと実証されています。その他にも、バウビオロギーの商品のラインアップが豊富に揃っています。お話しの中でヴァレンベルク野外博物館で伝統的な民家の復元のために薪を使って焼いているのと同等レベルの昔ながらの製法で作られいて、バウビオロギーでは透湿性があり、呼吸する素材であるということが重要であると解説いただきました。
特に、内装施工には改修などでデザインを変える必要はなく、炭化コルク+カルクウォールが最適とのこと。スイスウォールは、中大規模の事例が増え、成熟した市場で扱われるための商品になりつつあるとも仰っていました。認識だけでは意味がないということで、現在でも日々実証実験を進められています。真摯に素材と向き合い、人にも環境にも優しい製品を作り続け、提供し続けている歴史や社風に感銘を受けました。
その後、古民家を改修したペンションで見学と昼食を兼ね、午後からは工務店の方々が一番興味を示される一般住宅の視察へとメリケン村に移動しました。
メリケン村 省エネ木造戸建住宅
カルクウォール室内使用事例見学
ミネルギー・A 三世帯住宅
設計施工主:マルティンブルガー氏
【特徴】
・木造3階建てパネル工法(セルロース充填)
・ZEH
・自家消費太陽光発電
・スマート化
HAGA社の案内の元、スイス漆喰の施工事例でもある新築戸建ての三世帯住宅を視察。絶景の土地が購入ができたことはとても運が良かった!と、施主であるマルティンブルガーさん自ら図面をもとにお話しいただきました。(三世帯住宅のうち1つは貸しているとのこと。)ご本人自身が設計士ということもあり住宅設計に詳しいのは当然だったのですが、スイスではマイホームを持つこと自体が希少で幸せなことでもあるので、基本的にお施主さんは“家”に関してとても詳しくなるというのが日本との大きな違いのようです。
こちらの内装はすべてスイス漆喰で仕上げており、空間の気持ち良さは最高!!!トイレに使われている色使いもマゼンタ(赤紫)の発色がとても印象的!(スイスはマゼンタがブームなのか?他の所でも多く見られた。滝川さんのセーターの色も。。。笑)内装の仕上げは落ち着いた中に緑のアクセントカラーの磨き仕上げが特徴的でした。(使い方が上手い!)
木材には白色のソープ仕上げも多くみられました 。(LIVOSのカルデットホワイトでできそう!)
最高の景観に参加者の方々も羨む。
Day.4
4日目は、ズールシュトッフィ地区でスイス最大の木造ハイブリッド建築を外から見学から始まりました。ゼロエミッション地区でもあり、ミネルギー地区でもある中層の木造高級集合住宅地に建つ木造ハイブリッド建築。木造ハイブリッド工法では10階建ての建物が最大でしたが、こちらは15階建ての60mの高さの複合施設で現在スイス国内では最大です。
構造材にはブナが用いられ、化粧材としてトウヒが使用されています。ディベロッパーが木造を選択した理由としては、木造での省資源・工期の短縮など合理的な理由からとのことでした。敷地内には大学・オフィス・賃貸・分譲住宅があり、現在も建設中の建物が並びます。
見学の後は、プラスエネルギーハウスの視察のためヒューネンベルク村へと移動しました。
ヒューネンベルク村 戸建住宅
シェーラー邸 施主解説(siga社勤務)
【特徴】
・構造材が内装材として表しになっている
・接着剤、金具は不使用
・版築、環境建材利用の徹底
・CLT工法
・プラスエネルギーハウス
・熱交換換気なし
施主のシェーラーさんは溶剤を含まない気密テープメーカーSIGA社に勤務されています。施工に対するアイデアやモチベーションはバウビロギーからで、パネルには国産の新月伐採のモミの木を使用したり、経年変化を見越した色彩で石灰の入っている塗料を使用したりとこだわりが随所にあふれていました。
断熱材には、木質断熱材のみ使用し、暖房は1階のみ床暖房と薪ストーブを採用。照明は全てLEDを採用し、太陽光発電(約2万kw/年)で家中の電気と電気自動車の充電を賄っています。工期は10か月、総工費1.6億円 掛かったとのことで壮大な計画だったことがわかります。 地球温暖化への懸念から、できるだけ木を使用した建築を意識し、エコロジーを心がけたそうです。
3−4日目も、それぞれの施設や住宅において、バウビオロギーの理念に基づいた省エネ・環境保全、素材へのこだわりなど意識の高さを実感しました。さらに、スイスウォールのよさや使い方を改めて確認し、家づくりのヒントをたくさん得ることができた2日間となりました。
レポーター:イケダコーポレーション東京営業所 安田辰徳
1-2日目はコチラ→『エコバウ建築ツアーレポート(Day.1−Day.2)』
5-6日目はコチラ→『エコバウ建築ツアーレポート(Day.5−Day.6)』