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エコバウ建築ツアー報告記|第14回 (2010)

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エコバウ建築ツアー2010は、スイス・ドイツをめぐり、地元の建築、欧州投資銀行、未来のパッシブオフィス、ユースホステルなどを視察しました。

 

2006年に施行されたREACH規則をはじめ、エコロジー最先端であるヨーロッパの中でも特に進んでいるスイス・ドイツでエコロジー建築に触れ、日本との違いや取り入れるべき点を学びました。

 

シュタイナースクールや、古い建物と最先端のエコロジー建築が調和した美しい街並み、ツアーの案内人であるケーニッヒ氏のセミナーなど充実したツアー内容となりました。

 

新建ハウジング」掲載記事も併せてお楽しみください。

 

 


「新建ハウジング」(2010年2月〜2010年11月)

 

ツアーレポート


 tour report

 

 

Day1 ルクセンブルグ

地元建築を視察

コンサートホール

モダンミュージアム

欧州議会会議場

欧州投資銀行

 

ソーラーウインド(建築途中)視察

建築家:PROグループ(設計事務所)

100名を越すPROグループの新たな新事務所として建築。

【コンセプト】永続的な居住性と社会性の実現。

エコ建築の実験場として、建築途中の輸送費、光熱費、廃棄物と廃棄エネルギーなどの建築に関わるあらゆるエネルギーなどを管理し情報を開示している。98本のパイプから地下水をくみ上げ循環し、地下水の温度で室内の熱を確保する「ファサードシステム」をはじめ、地熱、熱交換、雨水利用などでエネルギー効率約79kw/㎡を実現。パッシブ基準のエネルギー効率の70%程度の消費量など、考え得る、可能な限りのエネルギー対策を講じている。

 

【完成後の展望】

設計事務所+福祉施設(老人ホームやコミュニティ)
永続的な居住性を実現を目指す

 

【3つの認定を取得】

英 BREEAM(建築研究所の環境性能評価手法)認証
仏 HQE(高環境品質)認証
独 DGNB(持続可能な建築のためのドイツ協会)認証

 

「バウフィリッツホーム」

ドイツのハウスメーカー

 

1896年スタート、オリジナルの木片断熱材を武器にしている木造注文企画住宅。工期は9ヶ月程度
「ドイツ持続可能性アワード2010」を受賞。

ツアーでは施主宅の外観のみを見学。

 

「ユースホステル」


元修道院のユースホステル。04年~06年に外観はほぼそのままに残す。内装は断熱改修、そして宿泊施設への改修で大規模な工事になる。

 

Day2 ストラスブルグ

プチフランス

「プチフランス」という集落名だが、建築当初はドイツ領だったこともありドイツのチューダー様式の住宅が多い。16世紀からこの街並みは存在する。よく見るとサッシにはペアガラスが用いられ、奥では断熱改修工事中と改修されながら実際に住宅として現役で機能しているのがわかった。

 

「エコステーション」

20年前に建築され、保健、環境教育の場としての役割を持つ。ホーガン様式と呼ばれる丸太を使った原住民の住宅の様式を再現。建築材料は木、粘土、土、漆喰と日本古来の建築材料とほぼ同じ。温水パイプでの室温調整、雨水利用、太陽エネルギーの活用による低エネルギーハウスでもある。

 

現在の活動は15名のスタッフ(常勤スタッフは2名)とボランティアにより年250回以上開催しているグリーンスクールやエコセミナーがメイン。子供たちがメインだが、参加する年齢層は幅広い。ボランティアスタッフもガーデンマイスターによるビオガーデン教室、薬草教室などプロの知識をもって指導。中心市街地から2キロという立地で年間1500人以上の 方々が参加している。

 

【運営費用について】
年225万€が年間予算 予算は州、市からの助成金。グリーンスクール参加費、施設の使用料とスポンサー企業からの融資。エコステーションは環境教育をする場所のため社会的地位が高くイメージもよいためスポンサーが集まりやすい。

エコステーションでは環境教育の役割を担っているがストイックな教育ではなく、自然の中で暮らす豊かさを楽しみながら実感、提案する楽しみながら学ぶ場になっている。

エコスクール

シュタイナー的教育を実践している学校。直線的な運動ではなく曲線。やわらかな色彩、土、木、石を多用した授業など。
2003年に建築されたが、現在も建築中(カフェテリア)

 

グリーンマンション(集合住宅)

設計:ヨアヒム・エブレ氏(建築家)

コンセプト:「緑の家」

12組の家族が住む予定のマンション。「コンクリート×木」のデザインに部材にもこだわ っており、建築現場にはREACHマークもある。 内装はリボスの粘土塗り壁とアウロ。断熱材はミネラル断熱材を用い、トリプルサッシを採用。ドイツの断熱材シェアはミネラル断熱材45%セルロース、木繊維、羊毛など15% 他発砲グラスなど。

 

Day3 カールスルーエ

17年前の集合住宅

設計:ヨアヒム・エブレ氏(建築家)
居住性の高い集合住宅を目指し、17年前に建築。ファサードシステム、セルロース断熱材などでエネルギー使用料は低い。セルロースの断熱材の他に地元の子供たちが集めたコルクで作った断熱材も屋根と床下に使用。パーキングエリアは居住空間からシャットアウト。販売価格は2500€/㎡。

3つのシュタイナースクール

ワドルフ学校 第一工期84年~ 第二工期85年~ 第三工期86年~ 第四工期04までなど動線は常に直線にならないようなつくり、暖房はペレット。

1928年の集合住宅と戸建て群

設計:ウォルター・グロピウス(建築家 )
バウハウス建築。文化や民族など関係のない普遍的なデザインを追求。そのデザインにはドイツの時代背景が反映されている。亡命途中で日本建築に触れたことも。

プレハブ工場

板積み工法のための壁工場を見学。日本ではプレハブと聞くと印象が悪いが、ドイツでは効率がよいという印象とこの板積み工法は木をふんだんに使うことから効率がよくエコロジーという捕らえ方をされている。

 

Day4 OSIKAのリノベーション物件

OSIKA

「ハウスインハウス」のコンセプトを元にエコリノベーション物件を手がけるディベロッパー。
今回は3物件を見学、うち1物件はこれからリノベ予定の変電所。OSIKAの手がける物件は文化的に価値のある箱物が多い。リノベーションの内容は断熱改修とバリアフリー化壁には24cmもの断熱材をいれ暖房費は改修前の1/10、CO2排気量は1/3へダウン。外観のリフォームはなし。歴史的建造物(変電所、軍事基地)の膨大な敷地を活用するため、建物以外はパーキングを居住区の外へ設置し、敷地内でガーデンフェスタを開催するなど社会性も兼ねそろえた集合住宅を目指している。この文化財リノベーションのターゲットは高齢層。箱物文化財が市街地によくあるという立地と敷地を使ったガーデンフェスなどで社会性を売りにしている。しかし実際にはリノベーションとガーデンイベントだけでは集客が満足にできないので敷地内に普通の集合住宅も建てて集客。

【見学先】

1888年賢三のレンガ積みの建物(旧フランス軍施設)
1928年のレンガ積みの建物 変電所
19世紀の街並みの中にあるマンション

 

Day5 エコハウスとケーニッヒセミナー

「エコハウス」

20年前にフランクフルト駅の近くに建てられた建築。事務所やセミナールームなどの用途で使われている。内外装の仕上げ材はリボスとアウロを採用。

 

ケーニッヒ氏セミナー

第一部

建築材料の選定

「木材」活用のススメ
サスティナブルな建材として非常に有効である。それを伝えるための見学先
プチフランス、エコステーション、プレハブ工場、他

第二部

エネルギーに関して
再生可能なエネルギー、グリーンエネルギーやペレット暖房。エネルギー効率工場のための断熱性能の向上、地域のごみ焼却の熱などすべてのエネルギー活の提案。さらに廃棄エネルギー>改修エネルギーの視点からエコリノベーションの可能性を提案。
それを伝えるための見学先OSIKAのエコリノベーション、パッシブ集合住宅など

 

 

エコバウ建築現地コーディネーターでありエコロジー 建築第一人者ホルガー・ケーニッヒ

【日本の住宅視察後記】

「日本の住宅設備はすばらしく優秀で高機能だ。これはドイツの工業製品を凌ぐものである(環境への負荷などを抜いて工業製品として)しかし圧倒的に素材の選定が甘い。日本はドイツ以上の森林を保有しており、木材は自国の優秀な素材になり得る。

 

また、素材の厳選は誰にでも比較的簡単にはじめられるエコバウ建築の基本であるのにも関わらず、質感のない素材を使っている点が残念。エネルギー関連の質問が多かったが(視察中の日本人建築業者様)エネルギーよりもまずはじめなければならないのはエコバウ建築の基本である素材の選定だ。」

 


 

ストラスブルグからの帰り道にて

 

古い建築の上に、最新の「作品」とも言える建築が多くの建築家によって建てられて来ました。そのデザインはモダンなもので、ガラスやスチールや使った建築が多くあります。また、断熱、気密などの計算で住宅の性能が数値化されてきました。数値で住宅性能の良し悪しがある程度、提示できるようになりました。

 

しかし、ユーザーにとっての本来の使用目的と居住性までは数値化にいたっていません。ある程度社会は変わってきましたが、これからは性能の数値から居住性の数値化も含めて考えていかなければなりません。

 

 

日本には世界一の大工と左官技術があり、木造建築の技術水準は世界トップクラス。本当に資産としての住まい。そして、その住まいと同時に住まい手の暮らし方(ソフト面)の文化の成長のためには、現段階で素材から資産価値を考え、はじめる必要があるのではないでしょうか。

 

 

 


 

パンフレットPDF

 

 Pictures 

 

ツアーコーディネーター TOUR COORDINATOR

Holger Konig ホルガー・ケーニッヒ

1951年ミュンヘン(ドイツ)に生まれる。ミュンヘン工科大学及び大学院で建築を学ぶ。1983年にエコロジー建材店や家具工房を設立後、設計事務所も主宰し、建築家、家具職人、建材流通の多様な経験を持ち、バウビオロギー・バウエコロジーを踏まえた住宅、幼稚園、学校を数多く手がける。
主な著書としてドイツでベストセラーとなった「健康な住まいへの道」(1985年初版・1997年第9版)があり、2000年に日本でも翻訳、出版される。1996年から2001年まで、自然建築材料の建築業者の集まりであるÖKO+ AGの取締役会の議長を務める。以降もそれまでの経験を生かしたさまざまなバウビオロギーや木造プロジェクトの管理や研究を任され、現在も活躍中。

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