とうほく走り描き‖第54回 『仲間とともに大工育成も』
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コラム
第54回 『仲間とともに大工育成も』
斎藤 由志さん(株式会社木づくりの住い結)
11月、昨年に続き2回目となる「山形県木造住宅フェア」が山形市で開催された。住宅需要を掘り起こそうと、地場工務店31社で組織する山形県優良住宅協会が主催。リボス自然健康塗料・天然スイス漆喰を採用いただいている『株式会社木づくりの住い結』斎藤 由志さんに誘われ、当社もブース出展した。
斎藤さんは、山形県新庄市の出身。県内の総合建設会社でビル建設などに携わった後、グループ会社の住宅会社を任されるようになる。「雇われママ」のようだったと、自嘲気味に振り返るが、北海道住宅新聞社主催の「寒地住宅学校」を初期に受講するなど、寒冷地の住宅づくりに真摯に向き合ってきた。断熱・気密の知識に裏打ちされた古民家改修では、専門家の評価も高く、一段と時間と労力が必要な、移築改修も幾度となくやり遂げてきた。やはり「もったいない」という思いが強くあったという。
やがて会社を離れ、2006 年に「木づくりの住い結」を設立。社名は、かつての農山村で、かやぶき屋根の葺き替えなどを共同で行った「結(ゆい)」からとったそうだ。マラソンは個人競技と思われがちだが、完走がテーマのアマチュアランナーはレース中に励まし合うことがよくある。距離が長ければなおさらで、先日完走した「伊南川100㎞ウルトラ遠足(とおあし)」でも多くの人に助けられた。特に暗い道を走る終盤は、大会経験者に何度も正しいコースを教えられ、それがなければゴールできなかったかもしれない。
「木造住宅フェア」の会場で見ものだったのが、職人育成のプログラムを兼ねた、地元の若手大工たちによる建て方の実演。進む道を切り開こうと地場工務店が力を合わせている。かやぶき屋根が見られなくなった今も「結」の心を感じる山形である。
〈筆者プロフィール〉
中島信哉:株式会社イケダコーポレーションの営業として、
現在は東北6県と北海道を担当。仕事のかたわら始めた
サインペン画やマラソンが話題に。
【2018年12月 北海道住宅新聞掲載】