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【動画】バウビオロギー講座③「光と色彩」|石川恒夫

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    バウビオロギー

 

3回目として、『バウビオロギー25の指針』の中から室内環境の話、空気温度、湿度など、そして材料の話、自然素材、等々の話、床材、壁材、天井材、それから空間のデザイン、そしてサスティナビリティ持続可能性の問題。それからエコソーシャルな問題。

実際にはそれぞれが浸透し合っているものですが、5つずつに分かれて5掛ける5の25の指針ということが言われております。その中の空間デザインの要素の一つとしての光、そして色、その色彩についてということです。現代表のヴィンフリート・シュナイダーさんは私と同い年ですが、建築に携わり設計業務もずっと経験してきたということもあって、やはり最終的に生まれる空間、あるいはその意匠デザインは「どうでもいいものではないんだ」ということをすごく強調しているような印象を受けます。その空間、その形あるいはプロポーション比率、そういったことがまず問題になりますが、今日の中では、その色、あるいはその光、色彩、といったことを特にお話ししたいと思います。

多様な色彩と光の重要性

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バウビオロギー新25の指針』の 中には、「自然に近い光のバランスと色に注意し、点滅のない照明、(光源)を用いる」とあります。ですから、当然、光といえば自然光も光ですし、人工照明も光であるということはいうまでもありません。そして私たちは実はさまざまな色彩と出会っていますし、それに応じた塗料といったものもさまざまにあります。選択肢としては多様であるけれど、実は街を見ていただきますと、結構茶色の同じようなくすんだような色が多いようにも見えないでしょうか。あるいは住まいは、“第三の皮膚”というようなことを言いますが、“第二の皮膚”としての衣装、洋服を考えたときに、例えば国会中継なんかを見ていただきますと、なんと、みんな暗いダーク な色の背広を着てる人が多いか。それが海外のニュースで見ていきますと、全く派手やかな、カラフルな衣装に身をまとった議員さんの姿を見るといったことも少なくないのではないでしょうか。

 

そして、私たちはなんと多様な色彩を持ってるのか。これは私の自宅からちょうど秋の11月の光景です。朝6時半ぐらいの朝日が醸し出す雰囲気です。あるいはこれは夕日100選として知られています。伊勢の賢島の方ですが、これはちょうど冬至過ぎた真冬の夕焼けの写真になります。光というのは、ある意味では薬のようなものなんですね。それを正しく服用しなければなりません。私たちの健康というのは、そのことに実は依存しているということ、省エネという問題で省エネの照明器具ランプといったことが求められることはもちろんそうですが、実際、例えば全く陽がささないそういったところへ住んでいらっしゃるという方も実際に多く見受けられて、その陽を浴びると人工照明にだけ頼ることなく、その陽を太陽の光を生命の源泉としての光を受けるといったことの重要性を私たち忘れてはいないでしょうか。

光と照明

この左と右のその図式ということを見ていきますと、私たちの眼とか神経システムとかホルモンというのは、実際にほとんど人類の長い歴史の中で変わっていないと言われています。ですが、この下の「相違」というところから見ていきますと、実は原始人のところまで、誰もわからないですが、遡らずとも戦後あるいは半世紀前ということを思い起こしてみてもですね、光というのは自然のスペクトル。ところが、今は私たちはほとんど90%室内、車の中とかにいるというふうに言われています。

 

ということは、90%人工的なスペクトルのもとに生きてると言えるかもしれません。そして朝焼けであり、さきほど見たような夕暮れだったり、あるいは温かい光であったり、本当に気持ちがその風景の中に溶け込んでいくような光の体験をしていたものですが、夜になると私たちは今明るい電気の光で過ごすと。それはしかもその光源によっては冷たい光であったりするかもしれない。昔は夜は暗いものであった。どの小説を見ても、本当に真っ暗の中を人が動いていく、そういった光景を小説を通して体験してますが、今は明るい夜であると。逆に日中はカーテンやジャロジーで閉じてしまっているのではないか。

 

昔は夜は星々の光を受けていた。今、私たちには星空というのはなかなか見えないのではないでしょうか。そして火を使っていたが、今はもちろん危ないからとか、いろんなこともあって、その火を使うといったことにもなかなか出くわさない。そして時間の流れというのはあくまで自然であった。要は「朝、陽が昇ると共に起きて仕事をして夕日が沈んで食べて寝る」というところから、私たちは、時間の使い方が極めて任意にできると、夜何をしようが自由にできる。場所も固定であり自然に規定されると。今は懐中電灯もそうですし、今はどこへでもモバイルでフレキシブルなものであって、自由に使えるように過ごすことができるように、空間も移動が可能になっている。考えてみると、光はいつも文化の歴史では大きな意味を持っていました。

 

 

人類が最も発展できたのは、いつも太陽の恵みがある場所だったということは歴史的な事実です。そして、自然の光と言っても、もしその自然の光の質ということを問われたとしても、それはそこには基準がないというのは一つの回答であって、それはいつの場合にも異なる性質を持っているからになります。

 

光源の質について

ここにはさまざまな光景があります。ここにそのカラースペクトルがあります。すべて自然のどれもが美しい光景ですけれども自然とこのスペクトル解析しますと、全く異なって見えます。これはバウビオロギー研究所から出ている資料の一つです。自然の状態、白熱電球、省エネランプ、蛍光管、LED、その他、というふうに、さまざまなスペクトルを一覧にまとめたものになります。

 

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実際自然と言っても、朝日では、とか方角によって、みんな異なっているのがわかります。多分一番「ああ、なるほど」と思うのは、この右下のロウソクですね。ロウソクは誰もが温かく集っていく。別にバースデーケーキじゃなくても、ロウソクを灯すと温かい雰囲気になる。確かにこれは赤みのスペクトルがとても大きいのはよくわかります。一方、この辺の角のように生えているものは蛍光管のスペクトルになります。

 

私たちは比較的目の仕組みが強いというふうに言われますが、欧米の方は蛍光管が嫌いだ、目に刺さるというような言い方を私も何度か聞いたことがあります。実はこの刺さるといったことがこういうスペクトルにある突起状のある部分の周波数が強く出てくる。そこに表れているのかなとも考えます。

 

そして実際には今、省エネの観点からどんどんLEDが普及していく、安くなっていきますし、そういう途上にあると思いますが、それもこのメーカーによって様々なスペクトルを示しています。中にはかなりLEDの中でも自然の光に近づける努力がなされていて、だんだん質が良くなっている。ドイツでは最近、メーカーによりますが、そういったことの報告がなされています。

 

光と色彩が空間デザインにもたらす効果

私自身はいくつか実際の家を作る中で、色というのは空間を支えてくれるような存在として大切に思っています。ある住宅でリビングの中に階段を作って、例えば写真のこの後ろの壁に、コンピュータ上の画像ですが少しブルー系を載せています。そうするとまた全然その空間の印象が異なってきます。それがいいかどうかは別にして、色を持つということが空間に大きな作用を及ぼすということの一例になります。

 

ご存知のように、色彩にはカラーセラピーという言葉があり、色々な作用を持っている。これは色環で、通信教育のバウビオロギーのテキストの中にありますが、「色の作用」これは私たちもよく知っているような、それぞれのアクティブな雰囲気、あるいは静けさをもたらす、それが迫ってくる、あるいは遠ざかっていく、その様な心象作用を持っているということを示したものになります。

 

一方、私たちは谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に見られるように、その闇、あるいは影といったことをとても大事にしていた民族なのではないか、と思います。光と影と言っても、陰影ですね。shadeとしての陰とshadowとしての影。光が当たるとシェードとしての陰ができて、地面に影踏みの影が落ちる。私たちはこのそれぞれの光、影ですね、陰影をとても大切にしている、そういう国民性があるのではないかと思います。

私たちのバウビオロギーにおいて、やはり実際に空間を作っていくという課題においてその光がどうあるかというのは、誰もが手探りの試みであると思います。どのような色を持つかということも含めてですね。具体的な例を話しますと、実は、これは私の自宅の階段のところです。普段はこのような状態で階段を降りていきます。あるときですね、ここの右側の壁に付いてる電球が切れていたんですね。実際に“切れてる”と思うとともに、こちらにまさに陰影が、今まで見たことのない陰影が出てきて、すごくドキッとする衝撃的な体験をしたことがあります。

 

要するに光がここにあることによって、全体の雰囲気が全く変わるわけです。実際、これは下に天井付けのランプがあって、ここに光があって、まさにここに陰影が、陰と影が出てきている。それがこのような形で見えて、全然空間の雰囲気が異なると。どっちがいいかということではなくて、空間が異なる、その違う質の体験をするということが何よりも大事であって、そのような体験を通してこの場合にはどういう光がどういう色彩が与えられるべきなのかということを問うていく。そのようなきっかけとして誰もがデザイナーとしての責任として色々な工夫をしてみて、光を下から上から当ててみる。

 

私たちはその光で天井から照らすということに最近普通に慣れてきてしまっています。ですが、私たちの戦前や昔の暮らしを考えると、上から光を当てるということはほとんどなかったということを考えますと、私たちの空間のしつらえといったことにも、まだまだ照明計画も含めて、開口部のことに関しても様々な可能性があるのではないかというふうに思います。

 

第三番目の話として、バウビオロギーと色彩、光、それがひとつの空間のデザインにおいて、極めて大事な要素であるということ。それは、その光が薬に等しいものであるからということでお話させていただきました。

 

[関連コラム]

スイスウォール「カルクウォールと照明

オガファーザー「暮らしに合わせて色彩をコーディネートする

 


 

バウビオロギー新25の指針 2018

 

講師プロフィール

石川 恒夫(イシカワ ツネオ)

1962年東京生まれ。早稲田大学大学院修了。ミュンヘンエ科大学留学、前橋工科大学工学部建築学科教授。日本バウビオロギー研究会代表。2004年大学発べンチャー(有)ビオハウスジャパンを設立、2011年に日本人初のバウビオローゲIBN資格取得。建築家として幅広い設計にあたる一方、日本におけるバウビオロギーの第一人者としてドイツと日本を結ぶ活動を多岐にわたり取り組む。

日本バウビオロギー研究会

 

 

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バウビオロギー講座①「第三の皮膚

バウビオロギー講座②「サスティナブル

バウビオロギー講座④「次世代を見据えた家づくり

バウビオロギー講座⑤「ベトナムの事例

バウビオロギー講座⑥「自然素材

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